【下克上】東大生が偏差値40の小学生を1年で御三家に合格させる 第13講【6月】
こんばんは。とある東大生です。
最近じめっとした天気が続いて気持ちよくないですね。
皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
さて、今回は【6月マンスリー】の結果が出たので
そのレビューをしようと思います。
前回の記事はこちらです。
先に結果を申し上げると【クラスは現状維持】です。
一方、偏差値は前回比でかなり落ちています。
それでは結果について振り返ってみましょう。
【科目別点数・偏差値内訳】
科目別の内訳がこちらです。(※4・5月マンスリーとの比較です)
【4科目】206/500(42.6)→235/500(46.1)→226/500(42.3)
【国語】71/150(43.8)→100/150(59.8)→95/150(52.0)
【算数】44/150(41.1)→40/150(38.8)→52/100(39.8)
【理科】44/100(42.6)→40/100(42.2)→21/100(36.2)
【社会】47/100(50.2)→55/100(52.0)→58/100(50.7)
★総合科目の偏差値は3.8下がっており、
早急な改善を必要とするレベルで急落しています。
特に理数系が壊滅的に酷いですね。
一方、前回は国語がかなり良かったので
それでかなり偏差値を引き上げた形ですが、
今回は国語がそこまで高い偏差値を叩き出しておらず、
その差で偏差値が元の4月時点と同レベルまで
戻っていると推察できます。
つまり、得意教科である国語を除いた教科の内容を比べると
他教科は変化していません。
これは良くも悪くも捉えることができます。
良く捉えると、今回はたまたま国語が良くなかったので
総合偏差値が下がったのであって退化してるわけではない、
ということになります。
一方、悪く捉えると
結局国語頼みであり、他三教科が成長していない
ということになります。
それでは気になる教科の点数内訳について考えてみましょう。
【気になった点数内訳】
【算数】
大問1(計算問題):6/18(Avg:11.8)
大問2(小問集合):24/35(Avg:30.4)
大問3(図形):16/26(Avg:16.6)
大問4(水量変化):6/18(Avg:10.6)
大問5(方陣算):0/12(Avg:6.8)
大問6(不定方程式):0/12(Avg:4.5)
大問7(点の移動):0/16(Avg:3.4)
【国語】
大問1(漢字):16/20(Avg:17.6)
大問2(慣用句):14/20(Avg:14.6)
【理科】
大問1(小問集合):0/10(Avg:4.5)
大問2(星の動き):5/23(Avg:10.7)
大問3(中和):9/23(Avg:10.4)
大問4(滑車):3/22(Avg:11.7)
大問5(電熱線):4/22(Avg:8.8)
★国語の漢字と慣用句に関しては問題ないと思います。
5月に引き続きハイアベレージを記録してくれています。
漢字を毎日練習する習慣は身についてくれたのかなと考えています。
一方、こういった問題は満点を取りきれるかどうかが
詰めの甘さを測る指標や
最後の最後で合否を分ける
重要なポイントですから、
この程度で満足しないよう常に満点を求め続けることが
重要だと考えています。
算数については、
特に重要視している大問1と2に関しては
前回に比べて向上しているところは評価できます。
しかし大問1は本当に酷いですね。。。
夏休みが終わる頃には15分で満点を取るレベルに
引き上げないといけないので
夏休みはそれを取り返す必要があり、
相当の地獄を見ることになると思います。
理科に関して言うと本当に悲惨ですね。
全部の大問からちょこちょこつまみ食いしている
点数内訳を見ると、本当に理科が苦手なんだなということがわかります。
つまり、ぱっと見全部わからないのですべての問題を眺めてみて、
取れそうな超簡単な(1)の問題だけ答えを書いたんだろな、
ということが推察できるからです。
理科は時間の都合上暗記しか見ていませんでしたが、
いよいよ本当に手をつけないとヤバイかなという印象です。
【生徒さんの感想とそれに対する考察】
①「漢字はできたよ!!最近国語が楽しくなってきた!!」
→ちゃんと継続して漢字に取り組んでるのが伝わってきてるしナイス!!
一回頑張って結果を出す
→報われるのが楽しくなってもっと真剣に取り組む、
というサイクルを身をもって実感してるはずだから、
それを大切にしよう。
②「算数は……難しいよ。大問1・2を15分で満点はできないよ。」
→毎回授業で過去のテストの大問1・2を解いているところを見ると、
大問1(計算問題)の処理スピードが遅いね。
つまり、それは練習量が足りてないんだ。
計算はやりさえすれば必ずより速く・より正確になるよ。
だからこそ日々の積み重ねが大事なんだ。
夏休みは計算と頻出典型問題をとにかく膨大な数を解かないといけなくて
大変だけどなんとかついてきてね。
③「社会は今回公民が範囲であまり解けなかった…」
→マンスリーという特性上カリキュラムの復習をしないといけないので、
今回は公民の範囲だけがドサっと試験に出たけど、
公民は基本的に暗記しか聞きようがないので、
上位校では出されない傾向があり、
入試で出るとしても時事に関するネタか、
ほんの一部で出るところはだいたい限られてるんだ。
だから今回の社会の成績は気にしなくてもいいよ。
④「理科は本当にわからん。やばい。」
→あのような得点分布を見ると、
たぶん本当に基本のところすらかなり怪しい。
優先順位的に遠回しにしてたけど、
このヤバさは致命傷になるかもしれないから
来週から理科も本格的に見よう。
その代わり、ライバルとの差がすでに
かなりついてしまってるのは事実だから、
危機感を持って暗記も授業も真剣に取り組んでほしい。
⑤「オープンと違ってマンスリーはできないんだよね。理由はわかってる。復習とか勉強しないといけないんだもん」
→いや、勉強しろよ(笑)
確かにお前が賢いのはわかっとる。
いかに楽していい成績をとるかを考えるのも大事や。
でもこの成績に満足してるわけじゃないやろ。
同じ成績のやつと比べて俺はいかに楽をしてるかを競うのは構わんけど、
お前が比べる相手は御三家を受ける奴ら、つまりαクラスのやつらや。
だから、それぐらいの成績を取れるまでは必死に頑張ろな。
そして志望校に受かってから言うてやるんや!
「俺はこんだけ楽して受かったで?」って。
それが一番カッコ良くない?
【総括】
4月から順調に成績を上げてきていましたが、
今回初めて下落する形となりました。
順調に成績が伸び続けるはずがないと思っていたので
そこに関しては予想の範囲内です。
6月にかなり中だるみが来ていたので、
成績がたぶん一回落ちるだろうと予想していましたし、
むしろこれは
「サボったら成績は一瞬で落ちる」
という危機感を覚える上で良い教訓になったと捉えています。
※上記の記事は6月の中だるみのリアルについて書いています。
今回のテストで夏休みにやらなければいけないことが
かなり明確になりましたし、
夏休みを良い形で迎えられるかどうかが懸かる
【7月の組分けテスト】
に向けて、早急に理科を対応しなければいけないことがわかったので
それだけでもこのテストを受けた価値はあったかなと感じています。
また、今回以前より成績が下がったにもかかわらず、
クラスが現状維持だったのも不幸中の幸いだと捉えています。
なぜなら、この状況でクラスが下がってしまうと
弱ったメンタルに追い討ちをかけるような形で
自暴自棄になってしまうリスクがあったからです。
(生徒さんは比較的メンタルが豆腐なので…)
ですから今回のサピックスの温情措置には感謝しています。
来月以降も厳しい戦いは続き、いよいよ夏休みも近づいてきていますが、
日々やるべきことを頑張っていきたいと思います。
それでは今日はこの辺りで失礼します。
また次回の記事でお会いしましょう。
毎度たくさんの人に読んでいただきありがとうございます。
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【下克上】東大生が偏差値40の小学生を1年で御三家に合格させる 第12講【6月】
こんにちは。とある東大生です。
昨日マンスリーテストを終えた直後のところの授業です。
テストを終えて次の日でしたので、若干気が抜けているというか、
テンションが入ってない日だったので今日は1時間で切り上げてきました。
マンスリーといった目先のテストばかりにとらわれるのではなく、来年の2/1から逆算して一喜一憂せずに頑張るのが大事と以前申し上げましたが、たまにはこういった日もあっていいと考えています。
メリハリも大事なので。
ということで、今日はいつものメニューではなく、
頭を使ったちょっとした遊びを用いた授業をしてきました。
それは「御三家の問題を解いてみよう」という企画です。
今回はちょうどいい問題を探していたら灘中の問題があったので
それを解かせてみました。
灘は関西の学校なので、関東の御三家ではありませんが
「灘・甲陽・東大寺」と並ぶ関西の御三家の中のトップランナーなので
ご容赦していただけると幸いです。
遊びの問題の選定基準としては、
「頭を使えば一発で解ける・煩雑な計算を必要としない」
で選んでいるので
整数の問題を選ぶことが多いです。
今回も整数の問題です。
それでは問題を見てみましょう。
【灘の入試問題にチャレンジ!!】
2019年度灘中入試問題(1日目)
大問4
A=377×377×377×377×377×377×377
とする時、Aの約数の中で14で割ると1余るものは1を含めて
全部で( ① )個あります。
また、Aの約数の中で15で割ると1余るものは1を含めて
全部で( ② )個あります。
解説
これは問題を見た瞬間に
素因数分解の問題だと気づかなければいけません。
中学受験のみならず、東大レベルでの大学受験においても
素因数分解の概念は用いられ、
特に整数問題の完答までの道のりを最短化する強力なツールなので
ぜひマスターしたい解き方ですね。
しかし、素因数分解は日常生活で出てくるシーンはあまりないので
使用するメリットがわからない、
整数問題ならではの他分野との関連性があまりない独特な解き方、
最悪、列挙のゴリ押しスタイルで解けてしまうことがある
といった理由から素因数分解が敬遠される傾向があります。
ですから、素因数分解がどういう概念であって
これを使うとどのようなメリットがあるのかを
生徒さんにプレゼンする必要があります。
では初めに素因数分解とは何かについて説明しましょう。
【素因数分解とそのメリットについて】
素因数分解とは:1を除いたすべての正の整数は素数の掛け算で表すことができる。
★つまり全ての正の整数は素数の部品で成り立っている。
※素数:2以上の自然数(1は例外)のうち、約数を2つしか持たないもの。
基本パーツとなる数と考えてください。
つまり素因数分解をすることで
その整数がどういう基本パーツからなっているか
を調べることができる
というのが大きな強みです。
例えば、24という整数を素因数分解すると、
24
=8×3
=2×2×2×3
=2の三乗 × 3
と表すことができ、
つまり
24が2のパーツが3つと、3のパーツ1つから出来ている
ということがわかります。
この最小パーツにバラして考えることで、
★★素因数分解を使うメリット★★
①約数がいくつあるかを出すことができる
②約数の総和を瞬時に出すことができる
③約数を漏れなくダブりなく列挙することができる
④元の整数が少なくとも2と3のパーツ以外からは
成り立っていないことがわかる
⑤複数の整数を素因数分解し、比較することで
最大公約数と最小公倍数が一目瞭然でわかる
という様々なメリットがあります。(その他にも多数あります。)
つまり
整数問題を見た瞬間に素因数分解をしておけば
基本的にはokということですね。
しかし、これだけ強力なツールゆえに
意味もわからず思考停止状態でとりあえず素因数分解をしている小学生が多い
という印象なので、
素因数分解の意味を理解してこのように使えば
最速で答えに向かうことができるのにな
と思うことが多々あります。
それでは本題に戻って問題にチャレンジしてみましょう。
【問題を解いてみよう】
2019年度灘中入試問題(1日目)
大問4
A=377×377×377×377×377×377×377
とする時、Aの約数の中で14で割ると1余るものは1を含めて
全部で( ① )個あります。
また、Aの約数の中で15で割ると1余るものは1を含めて
全部で( ② )個あります。
一目でわかりますが、Aは377の6乗ですよね。
まずはAがどのパーツから構成されているかを知りたいので
377を素因数分解します。
↑ (377を素因数分解すればその6乗をすればAも自明に導き出せるので
手順を効率的に簡略化することができます。)
377=13×29
です。
13も29も素数なので無事に素因数分解が完了しました。
比較的数値の大きな素数同士の組み合わせですが、
その約数を見つけるのは気合とセンスですので頑張りましょう。
377=13×29
で、Aは377の6乗ですから、
A=13の6乗 × 29の6乗
となります。
つまり
Aは13のパーツ6つと、29のパーツ6つから成り立っている
ということがわかりました。
逆に言うと、
13と29以外のパーツからは一切出来てないということもミソとなります。
つまりAの約数を列挙すると
1(13の0乗) × 29の0乗〜6乗
13の1乗 × 29の0乗〜6乗
13の2乗 × 29の0乗〜6乗
13の3乗 × 29の0乗〜6乗
13の4乗 × 29の0乗〜6乗
13の5乗 × 29の0乗〜6乗
13の6乗 × 29の0乗〜6乗
となります。
※自然数の0乗は必ず1です。
(つまり7×7の49個約数があります)
一見難しいことを書いているように見えますが、
13と29の約数の組み合わせを互いに6つという制約のもと
漏れなくダブりなく列挙しているだけです。
ここで( ① )に取り掛かりましょう。
今回は約数を14で割ったときの余りに注目する問題でしたよね。
ですから
それぞれのパーツを掛け算する前に
予め14で割っておけばいいわけです。←これめちゃくちゃ大事
(この概念は大学受験ではmodと表し、バリバリ大学受験でも大活躍します。)
わざわざ掛け算した後の馬鹿でかい数を手間暇かけて割り算して
余りを出すよりも前もって数が小さい段階で下準備した方が楽だよねという
発想です。
この時、29は14で割ると1余ります。
つまり、
29は何乗しようが絶対に1余ることになります。
(1×1×1×1×1×1×1×……=1となるから。当たり前だけど。)
13は
0乗の時は1余り、
1乗の時は13余り
2乗の時は13×13=169ですから、14で割ると12余る1となり1余る
3乗の時は169×13ですから余りだけに注目すると1×13=13となり13余る
同様にしてそれぞれの約数を14で割った時の
図を上の図に照らして書くと
14で割った時の余り
1(13の0乗) × 29の0乗〜6乗
➡︎1×1=1 ゆえに1余る!!
13の1乗 × 29の0乗〜6乗
➡︎13×1=13 ゆえに13余る
13の2乗 × 29の0乗〜6乗
➡︎1×1=1 ゆえに1余る!!
13の3乗 × 29の0乗〜6乗
➡︎13×1=13 ゆえに13余る
13の4乗 × 29の0乗〜6乗
➡︎1×1=1 ゆえに1余る!!
13の5乗 × 29の0乗〜6乗
➡︎13×1=13 ゆえに13余る
13の6乗 × 29の0乗〜6乗
➡︎1×1=1 ゆえに1余る!!
1余るカタマリは4ブロックあり、
一つのカタマリあたりに0乗~6乗の7つの数字がありますから、
ゆえに( ① )の答えは
7×4=28個
となりますね。
次に( ② )について考えてみましょう。
約数のうち、15で割って1余るものが何個あるかという話ですよね。
先程と異なり、
どちらかは何乗しても1余るというものがないのが面倒なポイントです。
ですから13と19のそれぞれ0乗から6乗までの余りを書き出す必要があります。
しかし、2乗ぐらいならまだしも、
いちいち律儀に5乗して割り算して余りを出したりしていたら
計算が煩雑すぎて時間が絶対に足りなくなります。
ですからここで時短テクニックを使う必要があります。
★時短テク
余りだけを出したい時は
元の余りだけを掛けて割るだけでOK
ある整数Xの0〜a乗までのそれぞれの乗数をある整数Yで割った時の余りは、
前の乗数をYで割った時の余りにXをかけて、それをYでもう一度割れば良い。
というものです。
何を言っているかおそらく何を言っているか意味不明な呪文のように見えると思うので
とりあえず実演してみましょう。
13の0〜6乗を15で割った時の余りについて考えてみましょう。
0乗:1なので自明に1余る。
1乗:13なので自明に13余る。
2乗:13×13=169 となり、15で割ると11余る4となる。
3乗:ここからが時短テクニックが使えます。
わざわざ13×13×13をして15で割る必要がありません。
2乗の時の余りである4に13をかけて15で割れば余りが簡単に出せます。
つまり、4×13=52となり、15で割ると7余ることがわかります。
また、これは余りに元の数を掛けるだけでなく、
元の数をすでに15で割った時の余りを掛けることでさらに時短することも可能です。
(つまり、29の乗数の場合、余りに29をかけるのではなく、
予め15で割った時の余りである14を掛けてOKです。)
※この時短テクニックの証明は最後に載せておきますね。
同様にして13と29の0〜6乗をそれぞれ15で割った時の余りを
図示すると以下の通りになります。
約数のうち、15で割った時の余りが1ということは
つまり1は整数の掛け算で表すと
1=1×1しかありえませんから、
(15で割った時) 余りが1となる13の乗数 × 余りが1となる29の乗数
に絞られることがわかります。
つまり、上の図を見ればわかる通り、
(13の0,4乗) × (29の0,2,4,6乗)
に組み合わせが絞られます。
ですから( ② )の答え、つまりAの約数のうち、15で割って1余る数は
2×4=8個
あることが導き出せました。
【まとめ】
灘中の問題はいかがだったでしょうか。
文字で丁寧に説明するとものすごくボリューミィな内容になってしまいましたが、
構造はいたってシンプルな解いてて楽しい問題です。
頭を使えばこのように煩雑な計算を極力減らすことができますからね。
生徒さんも最初はちんぷんかんぷんでしたが、一緒に解いてみると
「あーそういうことか!!!簡単じゃん!!!」となっていました。
この時期に変にハードルを上げすぎない、意外と解けるんだ
という感覚を持たせることが大事だと考えています。
普段のテストに追われている時期にこのような遊びはなかなかできませんが、
テスト終わりにコーヒーブレイク感覚でこのような遊びをするのも
いいなと感じました。
とはいえ、筑駒と並んで日本最難関の中学である灘の問題は一味違いますね。
普通に大学受験でも通用するmodの問題をサラッと中学受験で聞きますからね。。
さすが、学年の半分が東大に進学するスーパーエリート校は格が違うな…
と感じた問題でありました。
それでは今日はこの辺りで失礼させていただきます。
次回の記事でお会いしましょう。さようなら。
毎度たくさんの人に読んでいただきありがとうございます。
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【補足(時短テクの証明)】
【下克上】東大生が偏差値40の小学生を1年で御三家に合格させる 第11講【6月】
こんにちは。とある東大生です。
更新が滞っておりすみません。
今日はサピックスオープンの結果が返ってきたのでそのレビューをしたいと思います。
前回の記事はこちらです。
前回は感触とそれに対する不満を長々述べましたが、
今回は数字の入ったリアルな結果発表です。
先に結果を申し上げますと……
思ったより悪くなかった
というのが正直な感想です。
それでは具体的な数字について振り返ってみましょう。
なお、前回のサピックスオープンの結果がわからなかったので
偏差値比較は前回のマンスリーテストと比較しています。
【科目別点数・偏差値】
総合成績(A+B)
【4科目】:235/500(46.1)→429/1000(47.1)
【国語】:100/150(59.8)→172/300(56.7)
【算数】:40/150(38.8)→42/300(35.0)
【理科】:40/100(42.2)→122/200(49.7)
【社会】:55/100(52.0)→93/200(58.1)
★テストの難易度も満点も異なるので点数の増減は無視した方が良いと思います。総合偏差値は微増に留まり、あまり変化していませんが、点数構成は前回と全く異なります。
というのも、前回は
国語だけが異常に高偏差値を叩き出し、それで他の教科をカバーしたケースでしたが、
今回は
算数以外の3教科はかなり向上したものの、算数1教科が悪すぎて足を引っ張って微増に留まったケース
だからです。
つまり、実力の底上げができている点で内容はかなり良く、
それゆえに算数がもうちょっとマトモであれば一気に偏差値が跳ね上がる余地を残しており、勿体無いなぁという感想です。
次にAタイプとBタイプに分けての点数構成の詳細です。
Aタイプ(基礎) / Bタイプ(応用)
【4科目】A:253/500(50.1) / B:176/500(44.1)
【国語】A:107/150(59.6) / B:65/150(52.0)
【算数】A:38/150(39.8) / B:4/150(33.4)
【理科】A:64/100(51.3) / B:58/100(48.1)
【社会】A:44/100(54.3) / B:49/100(60.1)
★Bタイプは難易度がかなり高い問題が揃っており、また現段階ではそういった問題の対応の練習は一切していないので、最悪0点でもいいと考えていました。
ですから、逆にBタイプの問題でここまであがいた形跡を見せられているのは収穫だと考えています。
特筆すべきなのは国語と社会です。
前回のマンスリーで国語の偏差値が59程度取ったことは完全にまぐれだと思っていましたが、今回もA, Bタイプともにハイアベレージを残している点でただの運ではなく、実力がついてきている、または覚醒したかもしれないと言えます。
また、4月から継続して社会の暗記を重ねてきましたが、その結果が出てきているように感じます。
というのも、暗記トレーニングには単語の暗記と短文論述の定型問答集も含まれているため、Bタイプで主に問われるような「論述力・応用力」に即した、「点の取れる記述法」を身につけつつあると言えるからです。
理科もかなり評価できると思います。
実際毎回暗記テストなどをやっている限り理科の実力は相当厳しいものがあります。
その中で、難しいテストの中でもあがいた形跡を残せてるのは好印象です。
最後に大反省ポイントの算数ですね。
Bタイプは衝撃の4点ですが、それに関しては全く気にしていません。
問題なのは基礎であるAタイプの内容ですね。
それでは算数のAタイプの内訳について考察してみましょう。
【気になった点数内訳】
【算数Aタイプ】
大問1(計算問題):14/21(Avg:14.2)
大問2(小問集合):14/35(Avg:21.3)
大問3(図形集合):0/28(Avg:14.7)
大問4(割合):0/24(Avg:6.3)
大問5(平面図形):0/16(Avg:3.4)
大問6(規則性):10/26(Avg:5.9)
★ベーシックな問題ばかりが立ち並ぶAタイプでこの得点状況は悲惨ですね。
「解けるものから解いて、できないものは大胆に切る。」
という戦術はお伝えしたのですが、大胆にやりすぎといった状況です。
Aタイプは基本的に容易な問題ばかりですから、戦術云々の前に、
"全部解けるけど時間との勝負"
といった状況に早くしたいところです。
その上で現段階で一番生徒さんに口すっぱく言っているのは大問1・2です。
具体的には
「15分で大問1・2は満点。最悪1問ミスまで。」
という基準です。
基本的には大問1・2はサービス問題であり、それをしっかり取り切ることで150点満点中60点弱を確保しようという意識を植え付けるためです。
その点で大問1と2で落としすぎであり、もっと日々の計算の宿題で時間と正確性にこだわっていこうとお伝えしました。
【まとめ】
今回のサピックスオープンは予想に反して内容がかなり良かったことにはかなり安堵しています。
前回の記事では懸念や不満について長々と書きましたが、なんだかんだ生徒さんはよくやってくれており、地道な努力の成果が出てきているように感じています。
正直、偏差値的にはまだまだ御三家のレベルにはまだまだ届いておりませんし、現段階の合否判定では最低ランクですが、内容の向上ぶりや、時折見せるひらめきのセンスの良さは確実にポテンシャル的には御三家は合格できると確信しています。
むしろ、僕が確実に彼をしかるべき場所に導いてあげないといけないという責任を痛感しています。
今日は6月のマンスリーテストの日です。
次回は【マンスリーのレビュー】について書こうと思います。
それでは失礼いたします。次回の記事でお会いしましょう。さようなら。
毎度たくさんの人に読んでいただきありがとうございます。
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【下克上】東大生が偏差値40の小学生を1年で御三家に合格させる 第10講【6月】
こんにちは。とある東大生です。
前回の続きについてのお話です。
前回の記事はこちらです。
今日は【苦悩の内容とその原因】について具体的にお話しようと思います。
【苦悩の内容とその原因】
①いつ雷を落とすか、そもそも落としていいのか
これについて最近悩んでいます。
お金をもらう立場だからこそ怒るのはダメなのか。
お金をもらっている立場だからこそ厳しく言わないとダメなのか。
そもそも生徒に奮起を促すための手段として「叱る」ということが有効なのか。
反抗期が目前に迫っている中、身内の者ではない一介の家庭教師に叱られて、
心を完全に閉ざしてしまうといった様々なリスクを考慮した上でも、この手段を取るべきなのか。
しかし、最近の生徒さんの態度は、受験生として考えるとあまりにも目に余るものがあります。明らかにダレています。
以前【カリキュラム編】でもお話ししましたが、家庭教師としては週6時間しか入ることができないので残りの162時間をいかに過ごすことの方がはるかに重要です。
ですから、この時期は残りの時間も有効に使ってもらう、そしてその習慣をつけるべく、徹底的な基礎反復の宿題を生徒に課しています。
しかし、最近授業のために家を訪問すると明らかに寝起きであることが増えてきています。また、宿題の確認をしても「あ、明らかにやってないな」となる回数が増えてきています。
疲れて学校から帰ってきてそのまま寝てしまうのは仕方ありませんので何も言っていませんが、宿題をやってないと思ったらその都度「ちゃんと宿題やらなあかんで」と優しく諭していますが、改善の見込みがありません。
授業の時間は非常に短いですし貴重なのでマックスに集中してほしいですし、
それ以外の時間も有効に使ってもらうために「最低限」の量を宿題として課してるんですけどね。。
それすらも崩壊してきているのが現状といったところです。
結果を出せていないことに苛立っているのではなく、
(今でないのは当然なので)
結果を出すために必要な量の努力をしていないのに
「僕は頑張っているのになんで結果が出ないんだ」
とすぐ一喜一憂する、つまり受験というシビアな勝負に対する姿勢が甘すぎる
ことに対して苛立っており、そこは絶対に正さなければいけないと思っています。
これらの原因としては、生徒さんが僕の反応を見ながらサボる要領をつかんだか、二ヶ月授業が終わって慣れが始まっているか、ナメられているかのどれかであると考えられます。
つまり、
最低限の量すらこなしてくれてない状態なので、
勉強してもらうための「手段」として「雷を落とす」という手段をとろうか迷っているということです。
さて、仮に雷を落とすとして、
雷を落とすことで「やらないと怒られる」という
「恐怖」を植え付けてやらせることができるので短期的には効果がありますが、
長期的視点で見ると僕のいない時にサボることになるので
根本的解決にはなりませんよね。
また、叱ることで多少態度が変わって勉強してくれるのであれば全然良いですが、
今生徒さんは反抗期に入りつつありますから、
耳を完全に閉ざしてしまうリスクがあります。
耳を完全に閉ざして反動で一切勉強しない期に突入してしまうと、ただでさえ時間が足りない状況ですから、目標達成がより厳しくなってしまいます。
仮に叱るとしても感情をぶつけるだけなのは絶対に避けなければなりませんし、
フォローも忘れず飴と鞭のバランスを考慮しなければならないといった難しいことを考えれば、
必ずしも「叱る」という手段をとらなくてもいいのでは、
他にもっといい手段がないのか、
安易に「叱る」という手段に走るのは軽率ではないのか、
などと悩んでいる最中です。
②達成しやすい低い目標を積み重ねるより100を要求して80ぐらい達成する方が結果的に良いのではないか
僕は今カリキュラム的に、目の前に小さなハードルを設定して越えさせ、成功体験を積み重ねて、相手を乗り気にしてスピード感を持たせ、どんどん越えるハードルの高さを上げていくイメージで教えています。
数値的に例えると、現在の実力を20, 御三家合格に必要な学力レベルを100とした場合,
20→30→40→50→60→70→80→90→100
といったような感じで細かく段数を設定し、段階を踏んで駆け上がっていくイメージです。
しかし、それはあくまで理想であり、現実としてはなんとかして一つ目のハードルを超えさせてみたらそこで胡座をかいて昼寝を始めてしまっているような状態です。
つまり、スピード感が全くないですし、当初の僕のイメージより成長感が追いついていない感じに不安を覚えています。
この手法の強みは、
小分けにすることでスピード感を上げ、
また精神的な障壁を減らしたり、
漠然とした合格までのイメージをより身近に、鮮明に感じさせることですが、
一つのハードルを越すごとに満腹感を覚えて立ち止まってしまうようではかえってスピード感が失われるので逆効果です。
つまり、常に満腹感を感じさせずハングリー意識を駆り立てる、
最初に120を要求してそれに向かって頑張ってもらって最終的に100まで引っ張り上げるイメージの方がいいのかなと思って悩んでいます。
少なくともそうすれば満腹感で立ち止まったりすることはありませんからね。
それはそれで途中で心が折れてしまったり、 道を見失って迷走するリスクが高いといった弱点はあるんですけどね。
③親を諌めるタイミング:誰かが鬼にならなければいけない
これも僕がやるべき仕事ではないと当初は考えてましたし、
非常に難しいことなんですけどね。
常々言っていますが中学受験は親によって決まると言っても過言ではありません。
なぜなら、弱冠12歳の子供が将来の目標を見据えて自分を律して勉強をするなど無理があるからです。
「環境が人を作る」といった類の名言はいつの時代にもありますし、それは経験的にも本当だと考えています。
親が東大卒の家庭は子供が東大に行く確率はかなり高いですし、それは親が医者の場合も同様に、子が医学部に進学する確率はかなり高いです。
高校の場合で言えば、灘高校や開成、麻布、筑駒あたりの高校は毎年当たり前のように学年の半分ぐらいが東大に入っていきます。
なぜそれが可能になるかというと、
伝統もしくは雰囲気として、学内に「これぐらいやるのが普通」という高いスタンダードがあって、自然と「俺もこんぐらいはやらなあかんな」という気持ちになり、
そのスタンダードに乗っているだけでいつの間にか高いレベルに到達しているからです。
つまり、彼らは「大して無理をするほど頑張っていない」感覚で東大に受かっていきます。それは知らないうちに習慣になっているからです。
これは小学生についても同様です。
御三家特訓クラスに入れば、周りの水準に慣れていってそれが当然になりますからね。
現在はまだまだ習慣が定着していませんし、
クラスも下なので周りのスタンダードも高くないので
自発的に勉強を促すのは難しいです。
御三家を射程距離に入れるクラスの生徒はおそらく
今の時期は1日に7時間程度勉強をやっていると思います。
それは当然しんどいですが、「それをやるのが当たり前」という雰囲気や
「やらないと置いていかれる」といった危機感を身近に感じてやっているので、
おそらくみなさんが想像してるより苦痛の度合いは少ないかもしれません。
むしろ、今のクラスはおそらく1日に多くても2・3時間程度しか勉強しない文化なので上記のような生活は絶対に想像できないでしょうし、
仮に1日7時間勉強の生活を真似しようとしても周りのスタンダードがないので、想像を絶する苦しさになってしまうでしょう。
これが「受験は団体戦」と言われる所以です。
つまり、今の至上命題は一刻も早くより上のステージへ生徒をあげることなのです。
ですから、軌道に乗せるまで(少なくとも御三家特訓を受ける資格のあるクラスに到達するまで)が今回の受験指導においては一番のハードルであり、そこまではマンスリーで結果が出て前回よりクラスが上がったとしても、現状に満足せずひたすら向上し続ける必要があります。
つまり、子供の勉強を管理する親がマンスリーやサピックスオープンの結果に一喜一憂してはいけません。
ですが、今回の生徒さんの親が一番目の前の結果に一喜一憂するので。。。
親の態度は子供に必ず伝播しますからね。
多少クラスが上がっただけで甘やかしてしまいますし、悪い結果を出せばヒステリーを起こして子供を叱り飛ばしてしまうんですよね。
また、怒り方も子供の取り組みといった姿勢や行為についてしかるならまだしも、
「なんで勉強しないの!!!バカなの!??」みたいな形で叱ってしまうので子供からすると人格を否定されてるように感じてやる気を失ってしまうんですよね。
もちろん身内ですし、親の金もかかってるのでこうなるのは理解できないこともありませんが。
ただ、親がこのように気分にムラがあると、子供が落ち着いて勉強できるはずがありませんからね。。
そこは変えなければいけないポイントだと思います。
一方で、カリキュラムに沿った日々の宿題の消化といった、
ついサボりがちな無味乾燥とした作業をこなす上で、
親の厳しさといったものが一番必要になるのですが、
一番必要なところで踏み込んで言えない様子があるんですよね。
やっぱりどうしても、子供がしんどそうなところに厳しく要求するのは体力も消費しますし、親心的にもやはりかわいそうだなとなって躊躇してしまうところがあると思うので。
あとで教えてもらったことですが、僕が受験生だった時(6年生になりたての頃)、
母が個人面談で塾の担任に言われたことがあるそうです。
「ここから一年間は子供がかわいそうに見えても鬼になってください。
そうしないと後で地獄を見るのは子供です。
子供のためを思って、お願いなので鬼になってください。」
小学生の時はなんでこんな勉強しないといけないんだ、もう辛い、でもやらないとお母さんにめちゃくちゃ怒られる、などと色々思っていましたが、
今振り返ってみると必要不可欠だったと思います。
小学生で独力でここまで律することは不可能だと思います。
ですから、ここら辺の心構えはそろそろ生徒さんのお母様にもお伝えしなければいけないのかな、と思っています。
【まとめ】
以上が最近抱えている僕の苦悩の話でした。
要するに愚痴です。
しかし、やはり成績が出ないのには確実に理由があってそれが授業をするごとに判明してきているので、それはむしろ今の時期でよかったかなと思っています。
本当の勝負は夏休みの40日間ですから。
受験生活なんか良いこともあれば当然悪いこともあります。
下ばかり向いていても仕方ありません。
これらも含めて楽しんでいこうと思います。
それでは本日は失礼いたします。次の記事でお会いしましょう。さようなら。
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【下克上】東大生が偏差値40の小学生を1年で御三家に合格させる 第9講【6月】
こんにちは。とある東大生です。
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先日、唐突に告げられた【第二回サピックスオープン】が終わりました。
その報告を今回はしたいと思います。
前回の記事はこちらです。
成績はまだ出てませんのでそれらについては次回以降行いますが、今日は所感についてお話ししたいと思います。
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【下克上】東大生が偏差値40の小学生を1年で御三家に合格させる 第8講【6月】
こんにちは。とある東大生です。
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昨日唐突に生徒さんに「今週末サピックスオープンなんだ。」と告げられ、頭を抱えてました。
わかってるならもうちょっと早く教えてよ…泣
とはいえ、サピックスオープンはクラス替えとは関係なく、また範囲も特に指定されてないので準備期間も3日だろうが一ヶ月だろうが、広すぎて対策は不可能なので、日頃の勉強のうでだめしで使ってみようというスタンスで臨もうと思います。
さて、話は変わりますが、今は授業で暗記テストの後、マンスリー対策と算数の総復習を兼ねて、デイリーサピックスの算数の問題を解かせていますが、今回のマンスリーの範囲は「場合の数」と「規則性」です。
今回は「場合の数」についてわかりやすく解説したいと思います。
場合の数ってものすごく得意不得意の差が出やすいジャンルなんですよね。
なぜなら「場合の数」というのは他のジャンルと違って、守備範囲が広すぎるため(場合分けすることだけが共通点であり、問い方が無限にある)、
「場合の数=コレ!」といったような万能な解き方が存在せず、問題ごとに解法が異なるため、
場合の数というジャンルの根底にある概念を理解しなければ、対応しにくいからです。
※例えば、「速さ」の単元はそのジャンルの問題に適用可能な万能な解き方が確立されており、きちんと訓練しさえすれば絶対解くことができる、典型的な点取り問題です。
つまり、場合の数のジャンルの根底にある概念を理解せずに解説を読んだ場合、
問題ごとに解法のアプローチの仕方が異なり(実際には異なるように見えるだけですが)
「なんでこんな発想すんだよ!!絶対思いつかねーよ!!」
となってしまうのです。
それでは今から「場合の数」という単元の根底にある概念についてお話しします。
★「場合の数」とは「楽をして」「漏れなく・ダブりなく」場合を数えるものである。
めちゃくちゃ当たり前のことを書いてるのですが、これが一番大事なことです。
漏れなく・ダブりなく数えるのは当たり前です。
そうしないと答えが合いませんからね。
ここからがさらに重要なことです。
「いかに楽をするか」ということです。
ここの「いかに楽をするか」というアプローチにはいくつかの異なる型があります。
これが場合の数をややこしくしているのです。
また、場合の数は思考停止し、闇雲に実験を重ねることでも(要するにゴリ押し)実は溶けちゃうんですよね。
しかし、非効率的に、闇雲に探すと、まず漏れがあったり・ダブりが多々発生します。
仮に漏れなく・ダブりなく解けたとしても、実験量が多すぎて解くのに時間がかかりすぎます。
そもそも論ですが、中学受験の目的はポテンシャルが優れた優秀な小学生を選抜することですよね。
その点で「場合の数」はポテンシャルを見る上で最適です。
思考停止して、闇雲にゴリ押しして解こうとする発想自体がナンセンスな考え方ですからね。
その点で、いかに楽をして効率的に場合分けできるかを見ることで受験生のポテンシャルを測ることができるのです。
ですから、場合の数の問題の解説を読む際には必ず
「漏れなく・ダブりなく」数え上げる上でこれが「一番楽」な方法である
ということを常に念頭に置くことが、場合の数に対する理解度向上の第一歩となります。
次に「一番楽」に数え上げる上でのアプローチの概念についてお話しします。
これは図形でも言えることですが、大別すると2つに分類することができます。
①「部品ごとに分けて考える」方式
これが一番オーソドックスなアプローチになります。
「問題をパーツごとにバラしてあげて、それぞれのパーツについて考えて、それらを各々完成させて最後に合体させる」という考え方です。
しかし重要なのは、最初から部品ごとに分けてくれているプラモデルとは異なり、
自分でパーツ分けをしなければいけない
ということです。
このパーツ分けの設定にはコツがあります。
それは
「与えられた条件のうち、一番部品が大きいものを基準にパーツ分けすること」
です。(★これめちゃくちゃ大事!!!)
仮に部品が小さいものを基準にパーツ分けした場合、それぞれのパーツについて考えなければならないのに、パーツ数が必然的に増え、作業数が増えます。
その結果、答えを導くのに時間がかかります。
これは「いかに楽をするか」という原則に反するのでダメですね。
とにかく、一番部品が大きいものを基準に分けるのがミソです。
仮に分けたパーツをさらに細分化しなければいけなくなった際は、そのパーツの中で次に大きな部品を基準に分けてあげることで「漏れなく・ダブりなく」をキープして効率的に場合分けすることができます。
このように、楽に場合分けをするには大きな条件→小さな条件という優先順位で切ってあげることが重要となります。(本当に大事なことなので何度も繰り返して言っています!!)
一方でこのアプローチは万能なわけではありません。
具体的にいうと、
★条件に「〜でないもの」といった文言が入っているもの
★パーツ分けした場合にあまりに細々としたパーツばかりの場合
というのも、「〜でないもの」という条件は非常に扱いにくいんですよね。
また、このアプローチの方法の強みは、大きい条件から場合分けしていくことで場合分けの試行回数を減らし、効率を上げるというものですが、小さな条件が乱立しているような場合分けの問題だとこのメリットは小さいです。
これらの問題に強いのが以下の考え方です。
② 「大きなものから不要なものを削り出す」方式
これは概念としては石膏像や紙粘土で交錯するイメージに近いです。
というのも石膏像や紙粘土はある程度の形まで作ってそこから不要なものを削り出して作品を作りますよね。
条件に「〜でないもの」といった文言が入っている場合や、
パーツ分けした場合にあまりにも細々としたパーツが多い場合
に有効なことが多いです。
例えば、究極に簡略化すると、
「1から10の整数の中で、3で割り切れない数はいくつあるか。」
と言う問題が出た時、
1,2,4,5…8,10といった具合に数え上げるよりも、
1~10までは10個整数があって、その中で3の倍数は3,6,9の3つだから
10-3=7個
と出した方が早いですよね。当たり前ですけど。
つまり、「Aではない」という条件を真正面から扱うと処理しにくいですが、
「全体-A」
という構図に持ち込むと、「Aである」という条件は扱いやすいので簡単に答えを導くことができます。
このように場合の数の問題を解く時は
「これは部品組み立てパターンと削り出しパターン、どちらを選べば楽になるのか?」
ということを常に気をつけながら解くという思考プロセスが非常に重要です。
それでは最後にこれらを使って麻布中学の入試問題を解いてみましょう。
【麻布の入試問題にチャレンジ!】
麻布中の2014年度入試の大問1です。
決められた何種類かの整数を足し合わせて1つの整数を作る方法を考えます.
例えば, 1, 2, 3, のみを用いて5を作る方法は
3+2, 3+1+1, 2+2+1, 2+1+1+1, 1+1+1+1+1
の5通り考えられます. ただし, 足す順序が異なるだけのものは同じ方法とします.
2, 3, 5 のみを用いて30を作る方法は全部で何通りあるか答えなさい.
まず、組み立て方式か削り出し方式のどちらを用いた方が楽を出来るかについて考えてみましょう。
ここで条件についてまとめてみます。
①2,3,5,のいずれかを使って足し算で30を作る。
(つまり2,3,5のうち足し算に使わない数があっても良い)
②足す順序が異なるだけのものは同じものとみなす。
→つまり2+1+1と1+2+1は同じものとみなす。
この時条件についておさらいしてみたところ、特に削り出し方式を使うことで得られるメリットはあまりなさそうなので、組み立て方式を用いるという選択肢をとります。
次に②の条件について考えてみましょう。
問題文によると、足す順序が異なるものは同じものとみなします。
つまり、30が2, 3, 5それぞれいくつずつ含まれているかという組み合わせを聞かれているのです。(成分内容的な?)
この時、30を構成する足し算のうち
2がある個数を●, 3がある個数を▲, 5がある個数を◆とします。
つまり
(2, 3, 5 )=(●, ▲, ◆)
と置いた時の(●, ▲, ◆)の組み合わせが何個あるかについて聞かれているのです。
次に場合分けの作業をいかに楽をして、漏れなく・ダブりなく行うかについて考えてみましょう。
ここで先程述べたことが効いてきます。
というのも、2, 3, 5のうちどれを基準に分けたら一番楽を出来るのかという話ですが、
一番部品が大きいものを基準に分けるのがミソ
と先程言いましたよね。
つまり5、すなわち◆の数字が何によるかで場合分けをすれば良いのです。
当然ですが30÷5=6なので、◆の上限は6です。
(◆=7の時, 和は35になってしまうので不可です)
条件により, ●, ▲, ◆はそれぞれ0以上と決められているので,
◆を基準に、0から6で場合分けをすれば良いのです。
❶ ◆=6の時
5×6=30なので●, ▲はどちらも0なのは明らかです。
よって(●, ▲, ◆)=(0, 0, 6)の1通りが決まります。
❷ ◆=5の時
5×5=25なので、2×●+ 3×▲=5となります。
●, ▲はどちらも整数ですから、(●, ▲)=(1, 1)のみが成立します。
よって(●, ▲, ◆)=(1, 1, 5)の1通りが決まります。
❸ ◆=4の時
5×4=20なので、2×●+ 3×▲=10となります。
10÷3=3 余る 1ですから、▲は3以下です。(▲が4以上の時、和が10を超えてしまいます)
また、実験してみると分かりますが、
3×▲は▲が奇数の時は奇数、▲が偶数の時は偶数になります。
10は偶数であり、また2×●は, ●がどのような整数でも偶数になります。
つまり何が言いたいかというと、▲が奇数の時, 3×▲は奇数ですから,
2×●+ 3×▲=偶数+奇数=奇数
になってしまうのです。(※当たり前ですが、偶数は, 偶数+偶数 か 奇数+奇数 でないと成立しない)
10は偶数ですから上の式は明らかに矛盾しています。
つまり、この場合、▲は偶数でなければなりません。
(▲:偶数の時, 3×▲:偶数となり, 2×●+ 3×▲=偶数+偶数=偶数 となり大丈夫)
つまり、▲は0以上3以下の整数で偶数ですから
▲は0か2しかありえません。
▲が2の時は●=2
▲が0の時は●=5
となり、無事組み合わせは見つかりました。
よって(●, ▲, ◆)=(2, 2, 4), (5, 0, 4)の2通りが決まります。
❹ ◆=3の時
5×3=15ですから, 2×●+ 3×▲=15となります。
以下は❸と同じ要領ですが, 15÷3=5 なので▲は5以下(の0以上の整数)です。
15は奇数で, 2×●は常に偶数だから, 3×▲は奇数にならなければなりません。
つまり, 3×▲が奇数になるためには▲は奇数でなければなりません。
つまり▲は1,3,5のいずれかです。
▲が1の時は●=6
▲が3の時は●=3
▲が5の時は●=0
となり、無事組み合わせが見つかりました。
よって(●, ▲, ◆)=(0, 5, 3), (3, 3, 3), (6, 1, 3)の3通りが決まります。
❺ ◆=2の時
5×2=10ですから, 2×●+ 3×▲=20となります。
20÷3=6 余る 2 なので▲は6以下です。
ここからは❸と同じ論理なので割愛しますが,
▲は偶数でなければなりません。
つまり、▲は0,2,4,6のいずれかです。
▲が0の時は●=10
▲が2の時は●=7
▲が4の時は●=4
▲が6の時は●=1
となり、無事組み合わせが見つかりました。
よって(●, ▲, ◆)=(1, 6, 2), (4, 4, 2), (7, 2, 2), (10, 0, 2)の4通りが決まります。
❻ ◆=1の時
5×1=5ですから, 2×●+ 3×▲=25となります。
25÷3=8 余る 1 なので▲は8以下です。
❹と同じ理屈で▲は奇数でなければなりません。
つまり、▲は1,3,5,7のいずれかです。
▲が1の時は●=11
▲が3の時は●=8
▲が5の時は●=5
▲が7の時は●=2
となり、無事組み合わせが見つかりました。
よって(●, ▲, ◆)=(2, 7, 1), (5, 5, 1), (8, 3, 1), (11, 1, 1)の4通りが決まります。
❼ ◆=0の時
5×0=0ですから, 2×●+ 3×▲=30となります。
30÷3=10なので▲は10以下です。
❸と同じ理屈で▲は偶数でなければなりません。
つまり, ▲は0,2,4,6,8,10のいずれかです。
▲が0の時は●=15
▲が2の時は●=12
▲が4の時は●=9
▲が6の時は●=6
▲が8の時は●=3
▲が10の時は●=0
となり、無事組み合わせが見つかりました。
よって(●, ▲, ◆)=(0, 10, 0), (3, 8, 0), (6, 6, 0), (9, 4, 0), (12, 2, 0), (15, 0, 0)の6通りが決まります。
よって❶〜❼を合計すると
1+1+2+3+4+4+6=21
ということで21通りという答えが導き出されます。
長々解説を書きましたが、
やってることは至ってシンプルです。
★一番部品が大きいものを基準に分けるのがミソ
★大きな条件→小さな条件という優先順位で切ってあげる
この二点に気をつけながら場合分けしてるだけです。
今回は丁寧に解説を書いたので長くなってしまい、
難しい問題の解説のようになってしまいましたが、
原則さえ守れば必ず解けるボーナス問題のようなものです。
一番最短の場合分けでも7通りも必要でしたが、もし仮に切り口を間違えてしまって●の数値で場合分けした場合16パターンも検証しなければいけなかったので作業量は倍以上に増えていたと思います。
この点で一番大きな条件を切り口に設定することの重要性は伝わったと思います。
場合の数を苦手とする小学生は非常に多く、逆に考えると、ここをうまく理解しさえすれば、ライバルに対して大きなリードを取ることができます。
その点で場合の数はチャンスと希望に満ちた楽しい分野だと思っていただければ幸いです。
それでは今日はこの辺りで失礼いたします。次回の記事でまたお会いしましょう。
【下克上】東大生が偏差値40の小学生を1年で御三家に合格させる 第7講【6月】
とある東大生です。こんにちは。
毎度たくさんの人に読んでいただきありがとうございます。
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最近急に暑くなりましたよね。夏がいよいよ来たという実感が湧きますね。
気づいたら、6月になっていて、家庭教師として今の生徒を担当して2ヶ月目に突入しました。
とはいえ、6月って実はあんまり受験的にいうと特に目立つようなトピックがないんですよね。
いわゆる一番中だるみしやすい時期です。
6月って梅雨に突入して天気も毎日微妙ですし、やることもいつも通りつまらない基礎的な反復なのでモチベーションが下がりがちなんですよね。
ということで今日は【スランプ・中だるみ】についてお話ししたいと思います。
モチベーションの下がりやすい時期とその主な原因、その解決方法について考察します。
【モチベーションが下がりやすい時期と主な原因】
①6月
【主な原因】:終わりの見えない、つまらない基礎練に対するダレ
6月って多くの受験生、並びに親御さん的にも受験に対する危機感が湧きにくい時期だと思います。
正直、この時期から危機感を持って緊張感が張り詰める中で勉強してるとメンタル的に体が持たないです。
2月になって新6年生としての授業が始まり、その時期は気合が入ってる小学生や親御さんは多いのですが、
やる内容はやはり5年生までに習った内容のおさらいといった基礎的な内容の反復練習や計算や暗記といった地味なトレーニングが多く、
受験生だからといって特別今までと異なる、いわゆる受験生ならではのテクニック!的な派手な飛び技の勉強はこのタイミングではやりません。
ですから、5月病と云いますか、この時期にダレる小学生は非常に多いわけです。
小学生としては、受験に対する実感がまだ具体的に湧かなく、
また、小学校も運動会や修学旅行といったイベントが多く、
かつ「夏休みに頑張ればいいや」と考えている場合が結構多いので、
どうしてもモチベーションが上がらないのはごく自然なことだと思います。
②8月
【主な原因】:周りは夏休みに遊んでいる中、必死に勉強しなければならない辛さ
8月はとにかく勉強!勉強!勉強!という感じで四六時中夏期講習なり自習なり勉強に追われるので、
メンタル的に追い詰められるというよりは(そこまで考える余裕がない)、
体力的に疲弊して「なんでここまでして勉強しなければいけないんだろう」となり、
モチベーションが下がるパターンが多いと思います。
小学生は大人と違ってあまり体力がない状態である上に、
おそらく彼らのうち大多数は生まれて初めて、40日という長期間を勉強のみに費やすという超ハードな経験をするので、
これに耐えきることができるのかという体力的なハードルがかなり高いです。
僕が小学生だった時はまだ周りも携帯電話といったものはあまり持っていなく(キッズケータイを持っている人はぼちぼちいましたが、あくまでそれは親との連絡用という目的でした)、またLINEなど存在しなかったので、友達とは小学校を通してしか会うことがなく、つまり夏休み中は顔を合わせたりすることはありませんでした。ですから、中学受験をしない小学校の同級生に遊ぼうと誘われたりすることはなかったので、メンタル的に揺さぶられることはありませんでした。
一方、今時の小学生はタブレットなりスマホなどを持っていますし、
小学校の友達とSNSを通じて繋がってますし、
夏休みに遊んでる写真をSNSを通して見てしまったり、
LINEなどで遊びに誘われたらかなりメンタルに響くのではないかな、という懸念があります。
実際、僕が大学受験で浪人していた時に、現役で受かった同期がFacebookなどに女の子たちと仲良くしている文化祭の写真や近況をアップロードしているのを見た時にかなりメンタル的にきついものがあったのは鮮明に覚えています。
(僕は5月でタブレットを封印して浪人の一年はガラケーで過ごしていました)
③9月
【主な原因】:夏休みに必死で勉強したのに思ったより成績が伸びない辛さ
これは受験生あるあるの悩ましい時期ですね。
というのも9月というのは夏休みが明けて最初の模試があるタイミングです。
当然ですが、受験生達は夏休みに勉強を捧げているので、夏休み明けに偏差値が爆上がりするのを求めてますし、上がると思っています。
しかし、偏差値は周りの出来具合の中での自分の立ち位置によって決まるものなので、偏差値は思ったより上がらないものです。
なぜなら、40日間の勉強によって確実に実力はついていますが、周りも必死に勉強して偏差値がグンと上がってくるので、その結果平均点もかなり上がってくるからです。
「あれだけ頑張ったのに俺の努力はなんだったんだろう…」となってメンタル的にがっくりくる時期だと言えます。
④11月
【主な原因】:受験までの残り日数と成績がついてこないことに対する焦り
これは特に成績上位勢によくあることです。
個人的にはこの時期が特に一番辛いと思います。
なぜならこの時期に成績上位陣は成績が天井にあたります。
つまり、勉強で伸ばせる余地があまりなくなってきて模試でも点数は頭打ちで伸びなくなってきます。
それに対し、11月は成績中位勢が大きく平均点を上げてくるので、平均点が上がっている中で自分の点数が変わらないとなると自然に偏差値は降下し始めます。
11月という時期は志望校の名前を冠したその中学の入試問題を想定した模試(本番の場所を借りてやる場合もある)があるタイミングです。
塾によっては11月から軽く追い込みが始まりますし、
志望校の見直しや併願校の検討といったことをやりますから、
受験が一気に間近に感じる時期なんですよね。
だいたい11月の中旬に「2/1まで残り〜日」といった紙が貼られますし。
今まで志望校に受かることを考えて頑張るだけでよかったのが、
志望校の見直しや併願校の検討といった、現実に向き合わなければならないことが出てくるので、もちろん塾の先生は一人でも多くの生徒を中学に合格させるのが仕事ですから、
偏差値が低迷してる生徒には容赦なく志望校の見直しを薦めてきます。
生徒視点で考えると、
必死で頑張っているのに成績が出ない、
上がらないどころか下がってきている、
それだけでもしんどいし、気がつけば受験はもう目の前だし、
塾の先生にはなだめてもらいたいし、励ましてほしいのに
志望校を変えたらどうかということを言ってくる、
といったような多重の苦しみに苛まれます。
親子共にダントツで11月が一番苦しい時期なのではないかなと個人的に思います。
⑤1月
【主な原因】 :本番が刻一刻と近づくことに対する極度のプレッシャー
1月はプレッシャーに押しつぶされるタイプと、お祭り到来といったテンションになるタイプに分かれると思います。
当然、お祭り男の方が受験に対してポジティブな印象を持っているので、本番に強いタイプだと言えますが、極度のプレッシャーをごまかすためにお祭り男を演じているタイプも往々にあるので注意が必要です。
1月というと関西圏では本番の受験、そして首都圏の中学受験においてはお試し受験が始まる時期です。
正直、模試とは比べものにならない周りの緊張感と、本番の会場の雰囲気に圧倒されます。僕も受験生だった時、お試し受験が一番緊張しました。
お試し受験は受験の雰囲気に慣れることと、とりあえず一つ合格して弾みをつけることが目的ですから、
自分の実力より数段落としたランクのいわゆる安全パイ的な学校を受けるのが定石です。
僕はお試し受験で無事合格することができましたが、
たまに実力を全く発揮できず落ちる生徒がいます。
そうなったら完全に負のスパイラルにはまってしまいます。
ここからメンタルを立て直して本番に臨むのは相当難しいものがあると思います。
【解決方法】
次にモチベーションの低下の原因となるこれらの【スランプ・中だるみ】に対する解決方法の提案をしたいと思います。
あくまでご提案なので、これらがいつどの時も最善の解決策であるわけではないということはご了承願います。
①中だるみ型
これは6月や8月に関するお話です。
正直、6月は緊急度がそれほど高くはないので、優先順位は低くなりがちかもしれません。一方、周りの本気度もそれほど高くはない時期なので、やればやった分だけ偏差値が伸びやすい時期でもあります。
この時期は生徒側は勉強を四六時中やらなければいけない必要性をあまり理解していませんから、できるだけ遊びたいと思っています。
一方で、両親側は受験に対する危機感はまだあまり湧いていないものの、子供が勉強しないということに対して不安が湧くので、叱ったりするなどして子供に無理やり勉強させようとするというところにギャップが発生すると思います。
僕は解決方法として6月は気分転換に遊んでもいいと考えています。
僕の中では、毎日続けることが肝要な計算・暗記・漢字といったこと最低限のことさえすれば、遊ぶ日が週に数回ぐらいあるのはいいと思います。
この時期から張り詰めて勉強するのも疲れるので。
具体的にいうと、ゲームをしたり、テレビを見るのもいいと思います。
ただ、息抜きにゲームをしたり、テレビを見るにしても自然と勉強にリンクするようにするとパーフェクトですね。
夏休みは時間があまりないので6月のように遊ぶといったことは厳しいかもしれませんが、40日のうち全く勉強しないリフレッシュの日を1,2日程取るのは有効だと思います。
意外と遊びの時間に知ったことって強烈に記憶に残ったりしますよね。それと同じ理屈です。
例えば、ゲームでは『桃太郎電鉄』、テレビ番組では『Qさま』が個人的にはかなり息抜き、かつ良い勉強になったのはよく覚えています。
桃鉄は日本全国の物件を買い漁るゲームですからプレイするにつれて、
日本全国の主要都市の名前や、位置関係、気候やその都市の名産品といった
日本地理の体系的な学習に極めて効果的です。
Qさまはプレッシャースタディーを家族でみんなで晩御飯を食べながら見るという形が効果的でした。
例えば、家族の中で早押しクイズみたいな形で『この漢字の読み方わかった!』といった感じで見ると自然とスピード感も身につきますし、
逆に塾の模試の漢字問題で、「あ、これQ様で出てたやつだ」となることが結構あります。
また、これは6月ではなく5月の話になってしまいますが、
5月は志望校のイベントが多く開かれる季節でもあります。
例えば、東京で言えば、開成の運動会や麻布の文化祭などが、関西では灘の文化祭があります。
これらのイベントはシンプルに面白いですし、各学校のスクールカラーが色濃く出るので志望校の雰囲気を肌で感じられると思います。
志望校の雰囲気を感じて、「この学校に行ってみたい」という気持ちを再確認すれば自然とモチベーションは湧いてきますよ。
学校と関係ない人がそれらのイベントに行ってももちろん歓迎されますし、「この学校に入りたい」って伝えると、学校の生徒の皆さんも昔は受験生でしたから、暖かく迎えてくれますしね。
②スランプ型
これは9月, 11月に言えることですね。
親も子供もきつい時期ですね。
これは正直、このスランプにはまってしまうと完全な解決策はありません。
スランプを必要以上に辛く感じさせないことぐらいしか手段を取ることはできません。
根本的に解決、または回避するには、夏休みを周囲の人より圧倒的に効率的に時間を使って、偏差値を向上させる必要があります。
今回はこのスランプにはまってしまった際の辛さの緩和の方法について考えていたいと思います。
上記の通り、この時期の辛さの原因は
「頑張っているのに報われない・刻一刻と本番が迫るという現実」
の2点に集約されます。
これに対して親が出来ること、いやしなければならないことは
①子供を全面的に信頼してあげる
②親の事情を子供に持ち出さない
この二点だと思います。
子供はこの時期、頑張っているのに成績が出ない、そして場合によっては先生から志望校の変更を勧められます。つまり、非情な現実に晒され、自信を失っている場合が多いです。この時に子供が本質的に親に求めているのはおべんちゃらや慰めの言葉ではなく、信頼です。
秋が深まってくるこの時期ですから、今まで子供にかけてきたコストなどを考えると、現実として退くに退けないタイミングだと思います。
退いても地獄、進んでも入試にかかるお金を用意したりと、
どちらを選ぶにしても地獄行きの、親からしても相当ピリピリする時期です。
しかし、絶対にそれを結果の出せない子供にその怒りをぶつけてはいけません。
「今までお金をかけてきたのにどうしてくれるの!!」や「本当にやる気あるの!!ないならやめてしまいなさい!!」といった文言は絶対に言ってはいけません。
結果が出ず、弱っている上に信頼を求めている状態でこういったことを言われてしまうと、子供はいよいよ逃げ場がなくなります。このような弱っている状態で奮起を促すような強い口調は追い打ちをかけるだけであり、自暴自棄になるのを促すだけです。
この時期はさすがに子供も背に腹は変えられない状況であるのはわかっているので、しっかり寄り添ってあげる、そのことが非常に大事だと思います。
③マリッジブルー型
これは1月、つまり本番直前に当てはまることです。
中だるみ型・スランプ型・マリッジブルー型と分類しましたが、これが一番対応するのは簡単だと思います。
なぜなら、終わりはすぐそこに見えてますから、受験に臨むマインドを少し変えてあげるだけでいいからです。
受験は結局はメンタルのスポーツです。
本番でいかに実力を出せるかが大事です。
1月で残り期間をいかに必死にやらせたところで時間的にやれることは限られていますから、いかに2月1日にいいコンディションで受験に臨めるかという環境作りをするだけなのです。
マリッジブルーといった類の不安に悩まされる受験生は
①今までの準備が無駄にならないか不安・本番で力を出せるか不安
②もし落ちたらどうしよう
③今思い返せば、あれもやってない、これもやってない
④親や周りの人の期待に応えられるか不安
これらの4つに大別されると思います。
これらは
・親や周りの事情は関係ない。
・結果は出すものではなく、後から付いてくるもの。だから特別変なことをする必要は1ミリもない。
・受験対策はもうやれるだけやったから量に関して心配することはない。
・落ちても高校受験と大学受験があるし人生が終わるわけではない。
・入試でわからない問題は周りも解けてないから悩む必要はない。
これらのシンプルな一言で解決できるので何の問題もありません。
これらを伝えた上で不安を吐露する受験生は気休めを求めている場合が多いので、基本的にはモチベーションアップのためにヨイショしてあげるぐらいで十分だと思います。
注意事項としては、親の緊張は子供に伝わりますから、いつも通りを心がける、これに尽きると思います。
【まとめ】
今回の記事はいかがでしたでしょうか。
「あー6月って実は何もないんだよな」と思って軽く書き出したつもりだったのですが、
状況別に分けて一つ一つのケースについて書き出したら意外とボリューミィになってしまいました。
次回以降もしばらく書くネタが6月はあまりないので首都圏の中学の入試問題の大雑把な傾向について次はまとめてみようかなと思っています。
これって、もしかして俺が思いっきり中だるみにはまってるやつだよな…
それでは今日はこの辺りで失礼します。また次回の記事でお会いしましょう。
さようなら。