とある東大生のブログ

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【下克上】東大生が偏差値40の小学生を1年で御三家に合格させる 第8講【6月】

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場合の数は特殊なジャンルです

 

こんにちは。とある東大生です。

 

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昨日唐突に生徒さんに「今週末サピックスオープンなんだ。」と告げられ、頭を抱えてました。

わかってるならもうちょっと早く教えてよ…泣

 

とはいえ、サピックスオープンはクラス替えとは関係なく、また範囲も特に指定されてないので準備期間も3日だろうが一ヶ月だろうが、広すぎて対策は不可能なので、日頃の勉強のうでだめしで使ってみようというスタンスで臨もうと思います。

 

 

さて、話は変わりますが、今は授業で暗記テストの後、マンスリー対策と算数の総復習を兼ねて、デイリーサピックスの算数の問題を解かせていますが、今回のマンスリーの範囲は「場合の数」と「規則性」です。

 

今回は場合の数」についてわかりやすく解説したいと思います。

 

 

 

場合の数ってものすごく得意不得意の差が出やすいジャンルなんですよね。

 

なぜなら「場合の数」というのは他のジャンルと違って、守備範囲が広すぎるため(場合分けすることだけが共通点であり、問い方が無限にある)

場合の数=コレ!」といったような万能な解き方が存在せず、問題ごとに解法が異なるため、

場合の数というジャンルの根底にある概念を理解しなければ、対応しにくいからです。

 

※例えば、「速さ」の単元はそのジャンルの問題に適用可能な万能な解き方が確立されており、きちんと訓練しさえすれば絶対解くことができる、典型的な点取り問題です。

 

つまり、場合の数のジャンルの根底にある概念を理解せずに解説を読んだ場合、

問題ごとに解法のアプローチの仕方が異なり(実際には異なるように見えるだけですが) 

 

「なんでこんな発想すんだよ!!絶対思いつかねーよ!!」

 

となってしまうのです。

 

それでは今から「場合の数」という単元の根底にある概念についてお話しします。

 

★「場合の数」とは「楽をして」「漏れなく・ダブりなく」場合を数えるものである。

 

 

めちゃくちゃ当たり前のことを書いてるのですが、これが一番大事なことです。

 

 

 

漏れなく・ダブりなく数えるのは当たり前です。

そうしないと答えが合いませんからね。

 

ここからがさらに重要なことです。

「いかに楽をするか」ということです。

 

ここの「いかに楽をするか」というアプローチにはいくつかの異なる型があります

これが場合の数をややこしくしているのです。

 

また、場合の数は思考停止し、闇雲に実験を重ねることでも(要するにゴリ押し)実は溶けちゃうんですよね。

しかし、非効率的に、闇雲に探すと、まず漏れがあったり・ダブりが多々発生します。

仮に漏れなく・ダブりなく解けたとしても、実験量が多すぎて解くのに時間がかかりすぎます。

 

そもそも論ですが、中学受験の目的はポテンシャルが優れた優秀な小学生を選抜することですよね。

その点で「場合の数」はポテンシャルを見る上で最適です。

思考停止して、闇雲にゴリ押しして解こうとする発想自体がナンセンスな考え方ですからね。

その点で、いかに楽をして効率的に場合分けできるかを見ることで受験生のポテンシャルを測ることができるのです。

 

ですから、場合の数の問題の解説を読む際には必ず

「漏れなく・ダブりなく」数え上げる上でこれが「一番楽」な方法である

ということを常に念頭に置くことが、場合の数に対する理解度向上の第一歩となります。 

 

次に「一番楽」に数え上げる上でのアプローチの概念についてお話しします。

これは図形でも言えることですが、大別すると2つに分類することができます。

 

①「部品ごとに分けて考える」方式

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プラモデルを作る時のイメージに近い

 これが一番オーソドックスなアプローチになります。

 

「問題をパーツごとにバラしてあげて、それぞれのパーツについて考えて、それらを各々完成させて最後に合体させる」という考え方です。

 

しかし重要なのは、最初から部品ごとに分けてくれているプラモデルとは異なり、

自分でパーツ分けをしなければいけない

ということです。

 

このパーツ分けの設定にはコツがあります。

 

それは

「与えられた条件のうち、一番部品が大きいものを基準にパーツ分けすること」

です。(★これめちゃくちゃ大事!!!)

 

仮に部品が小さいものを基準にパーツ分けした場合、それぞれのパーツについて考えなければならないのに、パーツ数が必然的に増え、作業数が増えます。

 

その結果、答えを導くのに時間がかかります。

 

これは「いかに楽をするか」という原則に反するのでダメですね。

 

とにかく、一番部品が大きいものを基準に分けるのがミソです。

 

仮に分けたパーツをさらに細分化しなければいけなくなった際は、そのパーツの中で次に大きな部品を基準に分けてあげることで「漏れなく・ダブりなく」をキープして効率的に場合分けすることができます

 

このように、楽に場合分けをするには大きな条件→小さな条件という優先順位で切ってあげることが重要となります。(本当に大事なことなので何度も繰り返して言っています!!)

 

一方でこのアプローチは万能なわけではありません

 

具体的にいうと、

 

★条件に「〜でないもの」といった文言が入っているもの

★パーツ分けした場合にあまりに細々としたパーツばかりの場合 

 

というのも、「〜でないもの」という条件は非常に扱いにくいんですよね。

 

また、このアプローチの方法の強みは、大きい条件から場合分けしていくことで場合分けの試行回数を減らし、効率を上げるというものですが、小さな条件が乱立しているような場合分けの問題だとこのメリットは小さいです。

 

これらの問題に強いのが以下の考え方です。

 

② 「大きなものから不要なものを削り出す」方式

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石膏像や紙粘土像にイメージが近い

 

これは概念としては石膏像や紙粘土で交錯するイメージに近いです。

というのも石膏像や紙粘土はある程度の形まで作ってそこから不要なものを削り出して作品を作りますよね。

 

条件に「〜でないもの」といった文言が入っている場合や、

パーツ分けした場合にあまりにも細々としたパーツが多い場合

に有効なことが多いです。

 

例えば、究極に簡略化すると、

「1から10の整数の中で、3で割り切れない数はいくつあるか。」

と言う問題が出た時、

 

1,2,4,5…8,10といった具合に数え上げるよりも、

 

1~10までは10個整数があって、その中で3の倍数は3,6,9の3つだから

10-3=7個

 

と出した方が早いですよね。当たり前ですけど。

 

つまり、「Aではない」という条件を真正面から扱うと処理しにくいですが、

「全体-A」

という構図に持ち込むと、「Aである」という条件は扱いやすいので簡単に答えを導くことができます。

 

 

このように場合の数の問題を解く時は

「これは部品組み立てパターンと削り出しパターン、どちらを選べば楽になるのか?」

ということを常に気をつけながら解くという思考プロセスが非常に重要です。

 

 

 

それでは最後にこれらを使って麻布中学の入試問題を解いてみましょう。

 

 

【麻布の入試問題にチャレンジ!】

 

麻布中の2014年度入試の大問1です。

 

 

決められた何種類かの整数を足し合わせて1つの整数を作る方法を考えます.

例えば, 1, 2, 3, のみを用いて5を作る方法は

3+2, 3+1+1, 2+2+1, 2+1+1+1, 1+1+1+1+1

の5通り考えられます. ただし, 足す順序が異なるだけのものは同じ方法とします.

2, 3, 5 のみを用いて30を作る方法は全部で何通りあるか答えなさい.

 

 

 

まず、組み立て方式削り出し方式のどちらを用いた方が楽を出来るかについて考えてみましょう。

 

ここで条件についてまとめてみます。

 

 

①2,3,5,のいずれかを使って足し算で30を作る。

(つまり2,3,5のうち足し算に使わない数があっても良い)

 

②足す順序が異なるだけのものは同じものとみなす。

→つまり2+1+1と1+2+1は同じものとみなす。

 

 

この時条件についておさらいしてみたところ、特に削り出し方式を使うことで得られるメリットはあまりなさそうなので、組み立て方式を用いるという選択肢をとります

 

次に②の条件について考えてみましょう。

 

問題文によると、足す順序が異なるものは同じものとみなします。

つまり、30が2, 3, 5それぞれいくつずつ含まれているかという組み合わせを聞かれているのです。(成分内容的な?)

 

この時、30を構成する足し算のうち

2がある個数を●, 3がある個数を▲, 5がある個数を◆とします。

 

つまり

(2, 3, 5 )=(●, ▲, ◆)

と置いた時の(●, ▲, ◆)の組み合わせが何個あるかについて聞かれているのです。

 

次に場合分けの作業をいかに楽をして漏れなくダブりなく行うかについて考えてみましょう。

 

ここで先程述べたことが効いてきます。

というのも、2, 3, 5のうちどれを基準に分けたら一番楽を出来るのかという話ですが、

一番部品が大きいものを基準に分けるのがミソ

と先程言いましたよね。

 

つまり5、すなわち◆の数字が何によるかで場合分けをすれば良いのです。

 

当然ですが30÷5=6なので、◆の上限は6です。

(◆=7の時, 和は35になってしまうので不可です)

 

条件により, ●, ▲, ◆はそれぞれ0以上と決められているので,

◆を基準に、0から6で場合分けをすれば良いのです。

 

❶ ◆=6の時 

 

5×6=30なので●, ▲はどちらも0なのは明らかです。

よって(●, ▲, ◆)=(0, 0, 6)の1通りが決まります

 

 

❷ ◆=5の時

 

5×5=25なので、2×●+ 3×▲=5となります。

 ●, ▲はどちらも整数ですから、(●, ▲)=(1, 1)のみが成立します。

よって(●, ▲, ◆)=(1, 1, 5)の1通りが決まります

 

 

❸ ◆=4の時

 

5×4=20なので、2×●+ 3×▲=10となります。

10÷3=3 余る 1ですから、▲は3以下です。(▲が4以上の時、和が10を超えてしまいます)

 

また、実験してみると分かりますが、

3×▲は▲が奇数の時は奇数▲が偶数の時は偶数になります。

10は偶数であり、また2×●は, ●がどのような整数でも偶数になります

 

つまり何が言いたいかというと、▲が奇数の時, 3×▲は奇数ですから, 

2×●+ 3×▲=偶数+奇数=奇数

になってしまうのです。(※当たり前ですが、偶数は, 偶数+偶数奇数+奇数 でないと成立しない)

 

10は偶数ですから上の式は明らかに矛盾しています。

つまり、この場合、▲は偶数でなければなりません

(▲:偶数の時, 3×▲:偶数となり, 2×●+ 3×▲=偶数+偶数=偶数 となり大丈夫)

 

つまり、▲は0以上3以下の整数偶数ですから

▲は0か2しかありえません。

 

▲が2の時は●=2

▲が0の時は●=5

となり、無事組み合わせは見つかりました。

 

よって(●, ▲, ◆)=(2, 2, 4), (5, 0, 4)の2通りが決まります。

 

 

❹ ◆=3の時

 

5×3=15ですから, 2×●+ 3×▲=15となります。

以下は❸と同じ要領ですが, 15÷3=5 なので▲は5以下(の0以上の整数)です。

15は奇数で, 2×●は常に偶数だから, 3×▲は奇数にならなければなりません

つまり, 3×▲が奇数になるためには▲は奇数でなければなりません

 

つまり▲は1,3,5のいずれかです。

▲が1の時は●=6

▲が3の時は●=3

▲が5の時は●=0

となり、無事組み合わせが見つかりました。

よって(●, ▲, ◆)=(0, 5, 3), (3, 3, 3), (6, 1, 3)の3通りが決まります。

 

 

❺ ◆=2の時

 

5×2=10ですから,  2×●+ 3×▲=20となります。

20÷3=6 余る 2 なので▲は6以下です。

 

ここからは❸と同じ論理なので割愛しますが,

▲は偶数でなければなりません。

 

つまり、▲は0,2,4,6のいずれかです。

▲が0の時は●=10

▲が2の時は●=7

▲が4の時は●=4

▲が6の時は●=1

となり、無事組み合わせが見つかりました。

よって(●, ▲, ◆)=(1, 6, 2), (4, 4, 2), (7, 2, 2), (10, 0, 2)の4通りが決まります。

 

 

❻ ◆=1の時

 

5×1=5ですから,  2×●+ 3×▲=25となります。

25÷3=8 余る 1 なので▲は8以下です。

❹と同じ理屈で▲は奇数でなければなりません

 

つまり、▲は1,3,5,7のいずれかです。

▲が1の時は●=11

▲が3の時は●=8

▲が5の時は●=5

▲が7の時は●=2

となり、無事組み合わせが見つかりました。

よって(●, ▲, ◆)=(2, 7, 1), (5, 5, 1), (8, 3, 1), (11, 1, 1)の4通りが決まります。

 

 

❼ ◆=0の時

 

5×0=0ですから,  2×●+ 3×▲=30となります。

30÷3=10なので▲は10以下です。

❸と同じ理屈で▲は偶数でなければなりません。

 

つまり, ▲は0,2,4,6,8,10のいずれかです。

▲が0の時は●=15

▲が2の時は●=12

▲が4の時は●=9

▲が6の時は●=6

▲が8の時は●=3

▲が10の時は●=0

となり、無事組み合わせが見つかりました。

よって(●, ▲, ◆)=(0, 10, 0), (3, 8, 0), (6, 6, 0), (9, 4, 0), (12, 2, 0), (15, 0, 0)の6通りが決まります。

 

よって❶〜❼を合計すると

1+1+2+3+4+4+6=21

ということで21通りという答えが導き出されます。

 

 

長々解説を書きましたが、

やってることは至ってシンプルです。

 

★一番部品が大きいものを基準に分けるのがミソ

★大きな条件→小さな条件という優先順位で切ってあげる

 

この二点に気をつけながら場合分けしてるだけです。

 

今回は丁寧に解説を書いたので長くなってしまい、

難しい問題の解説のようになってしまいましたが、

原則さえ守れば必ず解けるボーナス問題のようなものです。

 

一番最短の場合分けでも7通りも必要でしたが、もし仮に切り口を間違えてしまって●の数値で場合分けした場合16パターンも検証しなければいけなかったので作業量は倍以上に増えていたと思います。

 

この点で一番大きな条件を切り口に設定することの重要性は伝わったと思います。

 

場合の数を苦手とする小学生は非常に多く、逆に考えると、ここをうまく理解しさえすれば、ライバルに対して大きなリードを取ることができます。

 

その点で場合の数はチャンスと希望に満ちた楽しい分野だと思っていただければ幸いです。

 

それでは今日はこの辺りで失礼いたします。次回の記事でまたお会いしましょう。