とある東大生のブログ

とある東大生が興味を持ったもの全般について書いています。

【旅行記】中国に行ってきました①【上海】

こんにちは。とある東大生です。

 

最近記事の更新が滞ってしまっていました。すみません。

ブログのデザインをちょっといじっていました。

 

今日は中国に行ってきた際に感じたことについて書こうと思います。

 

中国に行ったのは春休みだったので、約三ヶ月前のことですが、カルチャーショックなど印象に残ったことがたくさんあるので記憶がまだ鮮明なうちに備忘録として残しておこうと思います。

 

 

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外灘より撮影

 

【中国に行こうと思ったきっかけ】 

 

僕の大学は1月末に期末試験が終了し、2月と3月は丸々春休みとなります。

ですから、2月はがっつりホテルのバーのバイトに入って貯金を作り、3月に旅行をしようと考えていました。

そこで、旅行先はどこにしようかなと考えていたタイミングでたまたま叔父とご飯に行った際に、叔父が僕にこう言いました。

 

「今世界で一番イケてる都市は上海深センや。

この2つの都市は2.3年ごとに街並みがガラッと変わるし、その時その時の世界の最新のものがあって、行けば世界のトレンドが肌で分かるから、絶対定期的に行かなあかんで。」

 

実際、中国は距離的に日本からも近いので、日数的にも予算的にも行きやすく、良い勉強になると聞いたので、この一言で中国に行こうと決めました。

 

余談ですが、その叔父は僕が上京してから一番世話になっている恩人であり、一代で芸能会社を築き上げた尊敬する経営者でもあり、僕に多大な影響を与えているキーパーソンでもあります。以後僕のエピソードにもちょくちょく出てきます。

 

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深セン

 

 【旅行行程】

 

2/25夜 羽田→浦東国際空港(上海)

2/26  終日観光

2/27夜 浦東国際空港(上海)→深セン国際空港

2/28  終日観光(深セン)

3/1    終日観光(深セン+香港)

3/2朝   深セン国際空港→関西国際空港

 

航空券はまとめてExpediaで、上海の宿はAirbnbで、深センの宿はBooking.comで予約しました。

Expediaで最安でまとめて押さえたところ、羽田→上海便と上海→深セン便は中国東方航空、深セン→関空便は海南航空になりました。

 

フライト3回、上海2泊、深セン3泊で所用金額は12万円程度でした。

(+Wi-Fiルーター代)

 

【旅行の目的】

旅行に行く際は必ず目標や、やりたいことをリスト化してまとめるようにしています。

 

なぜなら、リストにまとめておくことでやりたいことが明確になり、短い滞在時間をより密になると考えているからです。

 

今回の中国旅行の目的ややりたいことは以下の通りです。

 

目標:日本で見聞きする中国の情報は偏ってるのか、正確なのか身をもって学ぶ

 

やりたいこと

 

①現地人が食べるレストランで現地の人が食べる物を食べる。

外灘から上海の夜景を眺める

③中国の物価がどれぐらい安いのか確かめる。

④深センの電子街で世界のトレンドを知る

⑤深センのコピー品問屋で中国人の志向とMade in Chinaの今の実力を知る

⑥香港のネイサンストリートを歩く

⑦香港で有名な重慶マンションに行く。

 

今回これらの目標は無事全て達成できたので以下でこれらについて書いていきますので宜しくお願いします。

 

 

【今回の旅行の反省】

 

先にですが今回の旅行の反省点についてまとめてみたいと思います。

今回の旅行は一人で行ったので、準備から何まで自分でやりました。

準備を一通りやってみて後で振り返ってみると、

不慣れなせいで今回の旅行で損をしていることがたくさんあったので

まとめてみます。

 

①Wi-Fiルーターを異常に高い金額で借りてしまった

 

これはかなり痛いです。

 

中国は通常回線ではGoogleやLINE, InstagramやTwitter, Facebookといった日本でメジャーなSNSが一切使えません。(有名な話ですが。)

 

もしWi-Fiルーターがなければ日本と一切の連絡ができませんし、ウェブ検索が一切出来なくなり、完全に行動不能に陥ります

 

ですから、中国に行く際はそれらが使える特殊回線のWi-FiルーターかVPNサービスとの契約がマストです。

(2019年6月現在、中国政府によりVPNサービスの規制も本格化し、未認可のVPNは一網打尽にされているようなので、Wi-Fiルーターのレンタルしか方法がないかもしれませんね。)

 

今回の中国旅行は短期滞在ですから、VPNと契約するより、Global Wi-Fiあたりでレンタルする方が安上がりだろうと思って、公式サイトから予約をかけたのが間違いでした。(むしろ春休みキャンペーンで20%オフになっていたので得した〜と思ってました。。)

 

中国に帰ってきてからこの記事を読んで愕然としました。

tsunaga-ru.net

 

フォートラベルから予約をかけるだけで全く同じ物が

公式サイトからの予約金額から75%程度安くなるんです。

 

 

いやこれで6000円ぐらい損した。。

次から海外旅行するときはフォートラベルのページから予約するの一択ですね。。。

 

 

②安い宿にはそれなりの理由がある

 

今回の上海の宿はAirbnbで予約しました。

上海は物価が安い中国とはいえ、中国国内で見ると物価の高さはトップクラスです。

海外出張のビジネスマンが多いこともあり、ホテルはランクが高いところが多く、値段もなかなか張るものが多いです。

 

ですから、Booking.comでホテルを検索してもまあまあいい値段がするわけです。

そこでAirbnbで検索をかけたところ、ホテルに比べてかなり安い金額で条件がいいものがたくさん出てきました。

 

今回は「安い」「アクセスが良い」を重視して検索した結果、上海の一番の観光スポットである外灘に近い場所で一泊3000円程度の宿があったのでそこに決定しました。

 

"Historical" buildings(「歴史的」建造物)と書いてあったのが若干引っかかりましたが、まさかその懸念が現実になるとは… 

 

決済終了後にホストと連絡ができるようになり、現地に着いてから彼に連絡を入れ、詳細な住所を教えてもらうという形になるのですが(民泊という形態上プライバシーを守る為)、地下鉄の最寄駅を出て、地図アプリで住所を打ち込んで、目的地に着くも家らしきものが見当たらない。

 

明らかにボロいビルの一階に商店や中国工商銀行のATMが立ち並ぶ一角で案内が終了してしまうのです。

 

ホストに連絡を入れたら

 

「あー、そこの端に緑の鉄格子があるでしょ。

そこでパスワードを打ち込んだら入れるよー!」

 

とのこと。

 

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鉄格子があるということはそういう地域だということです

 

 

いや、鉄格子の威圧感

 

 

もう完全に映画でマフィアが拉致するときに使うマンション、もしくはバイオハザード系のゲームで出てくる廃墟そのもの。

 

ボロい暗い鉄格子剥き出しの配線とブレーカー怪しげなエレベーター

見事役満です。

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夜になるともっと怪しい雰囲気になります

 

 基本的にホストは管理人なのでその部屋には住んでいません。

携帯で連絡を入れて遠隔操作で開けてもらうか、

鍵の隠し場所を教えてもらって探して部屋に入るという形になります。

 

RPGかよ。

 

なんとかして部屋に入るも

 

 

全然Airbnbで見た写真と違う

 

 

古い建物だけどリノベーションして小洒落た雰囲気を写真で醸し出してたのに、

実際はシンプルにボロい部屋だった。絶対シーツ変えてないし。(髪の毛ついてた)

 

まぁ、最低限の寝泊りはできるから良しとしよう。

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聞いてた話と違う

そして写真は今回撮ってないんですが、風呂場が本当に汚かった。。

本当に笑っちゃうくらい汚かった。。

 

風呂桶が黒ずんで汚すぎるから、多分家主が足場用のゴムマットみたいなものを風呂桶にブチ込んでるんだけど、それも汚くなっててカオスの様相を呈していました。。

 

水圧も激弱くんだし、ここで行けたから他のところも大抵は大丈夫になるんじゃないかという変な自信がつきました。

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"歴史的"という言葉に騙されてはいけない

 

一応これでもスーパーホストに認定されてる優良大家さんの物件みたいなんだけどなぁ。

 

翌日朝にクソ汚いシャワールームの窓から景色を眺めたら、

想像以上に『歴史的』な建物と、奥の上海中心部の最新の高層マンションが

立ち並ぶ様子が良いコントラストになっていて妙に感慨に耽ってしまった。。

 

アクセスが抜群に良いのに異常に安いのがあったらそれなりの理由があるのは間違いないと思います。

 

 

③最安航空券を探すならskyscannerとGoogle Flightは必須

 

これも今回の旅行の大反省ポイントです。

Expediaの旅券も高くはないんですが最安ではありません。

 

旅行を組んだ時にこのコンボを知らなかったというのと、

「旅券ってまとめて取った方がセット割になって安くすむんじゃね?」

と思ってExpediaでまとめて周遊券で一本で取ったのが今回のミスです。

 

旅券は同じ便であっても、取るタイミング、フライト日、予約サイトによって値段が大きく変わります。

 

それらを比較して最安の航空便と最安の予約サイトを提示してくれるskyscannerはマストで重宝すべきですね。

sibatabi.com

 

この記事が非常にわかりやすかったのでリンクを貼っておきます。

 

また、

 

「行き先もまだ決めてないけど、この日あたりにアジアのどこかに行きたい」

 

と思っている場合は

Google FlightSkyscannerの組み合わせがいいと思います。

 

というのも、skyscannerでも行き先の提案はしてくれるのですが、

Google Flightは行き先の値段の相場を地図に照らし合わせて列挙してくれるので

ここはコスパがいいというのが一目瞭然に分かるからです。

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同じヨーロッパでも高いところと安いところが一目瞭然

この場合は「東京→ヨーロッパ」を2019年8月19日の条件で検索しています。

 

このグーグルフライトで相場の安い場所を調べて

スカイスキャナーで最安のタイミングと最安の航空便を探すというのが一番コスパがいいと思います。

 

今回の僕の旅行の場合でいうと、

 

・skyscannerを使わなかったので最安の便を取れなかった。

・深センから日本に帰るよりも、近隣の香港から帰った方が旅券は格段に安くなった

 

という点で失敗しましたね。

 

Google Flightを使えば、深センではなく確実に香港から帰った方が安いということがわかるのでそちらを使っていたでしょう。

 

セットで旅券を取った方がいいのか、

バラで撮った方がいいのか、

旅行代理店にまとめた方がいいのか、

個人で取った方がいいのか、

など旅券の取り方は様々な方法があり、値段もそれぞれの方法によって変わってくる、非常に奥深いものなのでそれらについては今度また別でまとめたいと思います。

 

④DiDiとGoogle翻訳はマストでインストールすべきだった 

 

これも痛いミスでした。

Google翻訳の存在は知っていましたが、

「今時の中国人は英語話せるだろうし、僕も英語は話せるから問題ないだろう。」

と思ってインストールせず行ったのが間違いでした。

 

次回お話ししますが、

中国って都心部に住んでいる若い人以外基本的には英語は全く話せないんですよね。

本当に、思ってるより十分の一も伝わらなかった。。

 

僕は中国語は全く話せないので、つまり一切の意思疎通ができないんですよね。

(表情といったノンバーバルなコミュニケーションしかできない)

 

僕が現地人に英語である場所への行き方を聞く

→現地人はおそらく「僕英語話せない」的なことを中国語で言う

→「僕中国語は全くできないんだ、ごめん。」と平易な英語で言う

→それすら何を言っているのか伝わらない、詰む。

 

このような流れで毎回詰んでしまうんですよね。

 

日本人は英語をちゃんと話せる人は少ないですが、言葉の単語単語を理解できる人は多いので何とかコミュニケーションできる場合は多いですが、現地の中国人は一切英語ダメという人が多いので、中国人の方が英語はできないという印象でした。

 

ですから、今回の旅行で基本的に人と話すときは、観光客を相手に仕事をする人か、富裕層か、現地の若い人ばかりになってしまったのでかなり制約がかかってしまったのは反省ポイントですね。

 

Google翻訳のいいところはオフラインでも使えること

です。

つまり、あらかじめ日本で中国語のソフトをダウンロードしておけば、電波状況によらず、相手と会話をすることができます

 

一度中国に行ってしまうと、Google系のサービスが受けられなくなってしまうので、インストールすらできません

 

中国以外であれば、インストールを忘れてもスターバックスあたりに駆け込んで無料Wi-Fiでインストールできますが、ここら辺が中国ではできないので、

見事に「中国の罠」に引っかかってしまった印象です。

 

次にDiDiですが、これはタクシーの配車サービスのアプリです。

つまり、UBERやLyftの中国版です。

これは上海で仲良くなった友人に教えて貰ったアプリなのですが、これは本当に便利です。

 

日本ではまだUBERに関する法整備が間に合ってないのでまだ普及が進んでおらず、身近に感じることができず、ピンとこないかもしれませんが、

 

①すぐタクシーを呼べる

②どのルートや所用時間でも値段が変わらないクリアな会計

③安い

 

というのは大きなメリットだと思います。

現地は詐欺まがいのぼったくりタクシーがたくさんいるので(特に空港は)、また観光で中国に行くとなるとどうしてもタクシーに乗る機会が多いので、

インストールして間違いないアプリだと思います。

www.e-avanti.com

 

こちらの記事がわかりやすくまとめられているのでリンクを貼っておきます。

 

 

 

 

 

とりあえず今日はこの辺りで失礼します。

次回はこの記事の続き、【上海で感じたこと】について書きたいと思います。

それではまた次回の記事でお会いしましょう。さようなら。

 

 

 

 

 

 

【下克上】東大生が偏差値40の小学生を1年で御三家に合格させる 第8講【6月】

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場合の数は特殊なジャンルです

 

こんにちは。とある東大生です。

 

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昨日唐突に生徒さんに「今週末サピックスオープンなんだ。」と告げられ、頭を抱えてました。

わかってるならもうちょっと早く教えてよ…泣

 

とはいえ、サピックスオープンはクラス替えとは関係なく、また範囲も特に指定されてないので準備期間も3日だろうが一ヶ月だろうが、広すぎて対策は不可能なので、日頃の勉強のうでだめしで使ってみようというスタンスで臨もうと思います。

 

 

さて、話は変わりますが、今は授業で暗記テストの後、マンスリー対策と算数の総復習を兼ねて、デイリーサピックスの算数の問題を解かせていますが、今回のマンスリーの範囲は「場合の数」と「規則性」です。

 

今回は場合の数」についてわかりやすく解説したいと思います。

 

 

 

場合の数ってものすごく得意不得意の差が出やすいジャンルなんですよね。

 

なぜなら「場合の数」というのは他のジャンルと違って、守備範囲が広すぎるため(場合分けすることだけが共通点であり、問い方が無限にある)

場合の数=コレ!」といったような万能な解き方が存在せず、問題ごとに解法が異なるため、

場合の数というジャンルの根底にある概念を理解しなければ、対応しにくいからです。

 

※例えば、「速さ」の単元はそのジャンルの問題に適用可能な万能な解き方が確立されており、きちんと訓練しさえすれば絶対解くことができる、典型的な点取り問題です。

 

つまり、場合の数のジャンルの根底にある概念を理解せずに解説を読んだ場合、

問題ごとに解法のアプローチの仕方が異なり(実際には異なるように見えるだけですが) 

 

「なんでこんな発想すんだよ!!絶対思いつかねーよ!!」

 

となってしまうのです。

 

それでは今から「場合の数」という単元の根底にある概念についてお話しします。

 

★「場合の数」とは「楽をして」「漏れなく・ダブりなく」場合を数えるものである。

 

 

めちゃくちゃ当たり前のことを書いてるのですが、これが一番大事なことです。

 

 

 

漏れなく・ダブりなく数えるのは当たり前です。

そうしないと答えが合いませんからね。

 

ここからがさらに重要なことです。

「いかに楽をするか」ということです。

 

ここの「いかに楽をするか」というアプローチにはいくつかの異なる型があります

これが場合の数をややこしくしているのです。

 

また、場合の数は思考停止し、闇雲に実験を重ねることでも(要するにゴリ押し)実は溶けちゃうんですよね。

しかし、非効率的に、闇雲に探すと、まず漏れがあったり・ダブりが多々発生します。

仮に漏れなく・ダブりなく解けたとしても、実験量が多すぎて解くのに時間がかかりすぎます。

 

そもそも論ですが、中学受験の目的はポテンシャルが優れた優秀な小学生を選抜することですよね。

その点で「場合の数」はポテンシャルを見る上で最適です。

思考停止して、闇雲にゴリ押しして解こうとする発想自体がナンセンスな考え方ですからね。

その点で、いかに楽をして効率的に場合分けできるかを見ることで受験生のポテンシャルを測ることができるのです。

 

ですから、場合の数の問題の解説を読む際には必ず

「漏れなく・ダブりなく」数え上げる上でこれが「一番楽」な方法である

ということを常に念頭に置くことが、場合の数に対する理解度向上の第一歩となります。 

 

次に「一番楽」に数え上げる上でのアプローチの概念についてお話しします。

これは図形でも言えることですが、大別すると2つに分類することができます。

 

①「部品ごとに分けて考える」方式

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プラモデルを作る時のイメージに近い

 これが一番オーソドックスなアプローチになります。

 

「問題をパーツごとにバラしてあげて、それぞれのパーツについて考えて、それらを各々完成させて最後に合体させる」という考え方です。

 

しかし重要なのは、最初から部品ごとに分けてくれているプラモデルとは異なり、

自分でパーツ分けをしなければいけない

ということです。

 

このパーツ分けの設定にはコツがあります。

 

それは

「与えられた条件のうち、一番部品が大きいものを基準にパーツ分けすること」

です。(★これめちゃくちゃ大事!!!)

 

仮に部品が小さいものを基準にパーツ分けした場合、それぞれのパーツについて考えなければならないのに、パーツ数が必然的に増え、作業数が増えます。

 

その結果、答えを導くのに時間がかかります。

 

これは「いかに楽をするか」という原則に反するのでダメですね。

 

とにかく、一番部品が大きいものを基準に分けるのがミソです。

 

仮に分けたパーツをさらに細分化しなければいけなくなった際は、そのパーツの中で次に大きな部品を基準に分けてあげることで「漏れなく・ダブりなく」をキープして効率的に場合分けすることができます

 

このように、楽に場合分けをするには大きな条件→小さな条件という優先順位で切ってあげることが重要となります。(本当に大事なことなので何度も繰り返して言っています!!)

 

一方でこのアプローチは万能なわけではありません

 

具体的にいうと、

 

★条件に「〜でないもの」といった文言が入っているもの

★パーツ分けした場合にあまりに細々としたパーツばかりの場合 

 

というのも、「〜でないもの」という条件は非常に扱いにくいんですよね。

 

また、このアプローチの方法の強みは、大きい条件から場合分けしていくことで場合分けの試行回数を減らし、効率を上げるというものですが、小さな条件が乱立しているような場合分けの問題だとこのメリットは小さいです。

 

これらの問題に強いのが以下の考え方です。

 

② 「大きなものから不要なものを削り出す」方式

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石膏像や紙粘土像にイメージが近い

 

これは概念としては石膏像や紙粘土で交錯するイメージに近いです。

というのも石膏像や紙粘土はある程度の形まで作ってそこから不要なものを削り出して作品を作りますよね。

 

条件に「〜でないもの」といった文言が入っている場合や、

パーツ分けした場合にあまりにも細々としたパーツが多い場合

に有効なことが多いです。

 

例えば、究極に簡略化すると、

「1から10の整数の中で、3で割り切れない数はいくつあるか。」

と言う問題が出た時、

 

1,2,4,5…8,10といった具合に数え上げるよりも、

 

1~10までは10個整数があって、その中で3の倍数は3,6,9の3つだから

10-3=7個

 

と出した方が早いですよね。当たり前ですけど。

 

つまり、「Aではない」という条件を真正面から扱うと処理しにくいですが、

「全体-A」

という構図に持ち込むと、「Aである」という条件は扱いやすいので簡単に答えを導くことができます。

 

 

このように場合の数の問題を解く時は

「これは部品組み立てパターンと削り出しパターン、どちらを選べば楽になるのか?」

ということを常に気をつけながら解くという思考プロセスが非常に重要です。

 

 

 

それでは最後にこれらを使って麻布中学の入試問題を解いてみましょう。

 

 

【麻布の入試問題にチャレンジ!】

 

麻布中の2014年度入試の大問1です。

 

 

決められた何種類かの整数を足し合わせて1つの整数を作る方法を考えます.

例えば, 1, 2, 3, のみを用いて5を作る方法は

3+2, 3+1+1, 2+2+1, 2+1+1+1, 1+1+1+1+1

の5通り考えられます. ただし, 足す順序が異なるだけのものは同じ方法とします.

2, 3, 5 のみを用いて30を作る方法は全部で何通りあるか答えなさい.

 

 

 

まず、組み立て方式削り出し方式のどちらを用いた方が楽を出来るかについて考えてみましょう。

 

ここで条件についてまとめてみます。

 

 

①2,3,5,のいずれかを使って足し算で30を作る。

(つまり2,3,5のうち足し算に使わない数があっても良い)

 

②足す順序が異なるだけのものは同じものとみなす。

→つまり2+1+1と1+2+1は同じものとみなす。

 

 

この時条件についておさらいしてみたところ、特に削り出し方式を使うことで得られるメリットはあまりなさそうなので、組み立て方式を用いるという選択肢をとります

 

次に②の条件について考えてみましょう。

 

問題文によると、足す順序が異なるものは同じものとみなします。

つまり、30が2, 3, 5それぞれいくつずつ含まれているかという組み合わせを聞かれているのです。(成分内容的な?)

 

この時、30を構成する足し算のうち

2がある個数を●, 3がある個数を▲, 5がある個数を◆とします。

 

つまり

(2, 3, 5 )=(●, ▲, ◆)

と置いた時の(●, ▲, ◆)の組み合わせが何個あるかについて聞かれているのです。

 

次に場合分けの作業をいかに楽をして漏れなくダブりなく行うかについて考えてみましょう。

 

ここで先程述べたことが効いてきます。

というのも、2, 3, 5のうちどれを基準に分けたら一番楽を出来るのかという話ですが、

一番部品が大きいものを基準に分けるのがミソ

と先程言いましたよね。

 

つまり5、すなわち◆の数字が何によるかで場合分けをすれば良いのです。

 

当然ですが30÷5=6なので、◆の上限は6です。

(◆=7の時, 和は35になってしまうので不可です)

 

条件により, ●, ▲, ◆はそれぞれ0以上と決められているので,

◆を基準に、0から6で場合分けをすれば良いのです。

 

❶ ◆=6の時 

 

5×6=30なので●, ▲はどちらも0なのは明らかです。

よって(●, ▲, ◆)=(0, 0, 6)の1通りが決まります

 

 

❷ ◆=5の時

 

5×5=25なので、2×●+ 3×▲=5となります。

 ●, ▲はどちらも整数ですから、(●, ▲)=(1, 1)のみが成立します。

よって(●, ▲, ◆)=(1, 1, 5)の1通りが決まります

 

 

❸ ◆=4の時

 

5×4=20なので、2×●+ 3×▲=10となります。

10÷3=3 余る 1ですから、▲は3以下です。(▲が4以上の時、和が10を超えてしまいます)

 

また、実験してみると分かりますが、

3×▲は▲が奇数の時は奇数▲が偶数の時は偶数になります。

10は偶数であり、また2×●は, ●がどのような整数でも偶数になります

 

つまり何が言いたいかというと、▲が奇数の時, 3×▲は奇数ですから, 

2×●+ 3×▲=偶数+奇数=奇数

になってしまうのです。(※当たり前ですが、偶数は, 偶数+偶数奇数+奇数 でないと成立しない)

 

10は偶数ですから上の式は明らかに矛盾しています。

つまり、この場合、▲は偶数でなければなりません

(▲:偶数の時, 3×▲:偶数となり, 2×●+ 3×▲=偶数+偶数=偶数 となり大丈夫)

 

つまり、▲は0以上3以下の整数偶数ですから

▲は0か2しかありえません。

 

▲が2の時は●=2

▲が0の時は●=5

となり、無事組み合わせは見つかりました。

 

よって(●, ▲, ◆)=(2, 2, 4), (5, 0, 4)の2通りが決まります。

 

 

❹ ◆=3の時

 

5×3=15ですから, 2×●+ 3×▲=15となります。

以下は❸と同じ要領ですが, 15÷3=5 なので▲は5以下(の0以上の整数)です。

15は奇数で, 2×●は常に偶数だから, 3×▲は奇数にならなければなりません

つまり, 3×▲が奇数になるためには▲は奇数でなければなりません

 

つまり▲は1,3,5のいずれかです。

▲が1の時は●=6

▲が3の時は●=3

▲が5の時は●=0

となり、無事組み合わせが見つかりました。

よって(●, ▲, ◆)=(0, 5, 3), (3, 3, 3), (6, 1, 3)の3通りが決まります。

 

 

❺ ◆=2の時

 

5×2=10ですから,  2×●+ 3×▲=20となります。

20÷3=6 余る 2 なので▲は6以下です。

 

ここからは❸と同じ論理なので割愛しますが,

▲は偶数でなければなりません。

 

つまり、▲は0,2,4,6のいずれかです。

▲が0の時は●=10

▲が2の時は●=7

▲が4の時は●=4

▲が6の時は●=1

となり、無事組み合わせが見つかりました。

よって(●, ▲, ◆)=(1, 6, 2), (4, 4, 2), (7, 2, 2), (10, 0, 2)の4通りが決まります。

 

 

❻ ◆=1の時

 

5×1=5ですから,  2×●+ 3×▲=25となります。

25÷3=8 余る 1 なので▲は8以下です。

❹と同じ理屈で▲は奇数でなければなりません

 

つまり、▲は1,3,5,7のいずれかです。

▲が1の時は●=11

▲が3の時は●=8

▲が5の時は●=5

▲が7の時は●=2

となり、無事組み合わせが見つかりました。

よって(●, ▲, ◆)=(2, 7, 1), (5, 5, 1), (8, 3, 1), (11, 1, 1)の4通りが決まります。

 

 

❼ ◆=0の時

 

5×0=0ですから,  2×●+ 3×▲=30となります。

30÷3=10なので▲は10以下です。

❸と同じ理屈で▲は偶数でなければなりません。

 

つまり, ▲は0,2,4,6,8,10のいずれかです。

▲が0の時は●=15

▲が2の時は●=12

▲が4の時は●=9

▲が6の時は●=6

▲が8の時は●=3

▲が10の時は●=0

となり、無事組み合わせが見つかりました。

よって(●, ▲, ◆)=(0, 10, 0), (3, 8, 0), (6, 6, 0), (9, 4, 0), (12, 2, 0), (15, 0, 0)の6通りが決まります。

 

よって❶〜❼を合計すると

1+1+2+3+4+4+6=21

ということで21通りという答えが導き出されます。

 

 

長々解説を書きましたが、

やってることは至ってシンプルです。

 

★一番部品が大きいものを基準に分けるのがミソ

★大きな条件→小さな条件という優先順位で切ってあげる

 

この二点に気をつけながら場合分けしてるだけです。

 

今回は丁寧に解説を書いたので長くなってしまい、

難しい問題の解説のようになってしまいましたが、

原則さえ守れば必ず解けるボーナス問題のようなものです。

 

一番最短の場合分けでも7通りも必要でしたが、もし仮に切り口を間違えてしまって●の数値で場合分けした場合16パターンも検証しなければいけなかったので作業量は倍以上に増えていたと思います。

 

この点で一番大きな条件を切り口に設定することの重要性は伝わったと思います。

 

場合の数を苦手とする小学生は非常に多く、逆に考えると、ここをうまく理解しさえすれば、ライバルに対して大きなリードを取ることができます。

 

その点で場合の数はチャンスと希望に満ちた楽しい分野だと思っていただければ幸いです。

 

それでは今日はこの辺りで失礼いたします。次回の記事でまたお会いしましょう。

 

 

【下克上】東大生が偏差値40の小学生を1年で御三家に合格させる 第7講【6月】

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とある東大生です。こんにちは。

 

 

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最近急に暑くなりましたよね。夏がいよいよ来たという実感が湧きますね。

気づいたら、6月になっていて、家庭教師として今の生徒を担当して2ヶ月目に突入しました。

 

とはいえ、6月って実はあんまり受験的にいうと特に目立つようなトピックがないんですよね。

いわゆる一番中だるみしやすい時期です。

6月って梅雨に突入して天気も毎日微妙ですし、やることもいつも通りつまらない基礎的な反復なのでモチベーションが下がりがちなんですよね。

 

ということで今日は【スランプ・中だるみ】についてお話ししたいと思います。

モチベーションの下がりやすい時期その主な原因その解決方法について考察します。

 

 

 

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6月は難しい季節です

【モチベーションが下がりやすい時期と主な原因】

 

①6月

 

【主な原因】:終わりの見えない、つまらない基礎練に対するダレ

 

6月って多くの受験生、並びに親御さん的にも受験に対する危機感が湧きにくい時期だと思います。

正直、この時期から危機感を持って緊張感が張り詰める中で勉強してるとメンタル的に体が持たないです。

 

2月になって新6年生としての授業が始まり、その時期は気合が入ってる小学生や親御さんは多いのですが、

やる内容はやはり5年生までに習った内容のおさらいといった基礎的な内容の反復練習や計算や暗記といった地味なトレーニングが多く、

受験生だからといって特別今までと異なる、いわゆる受験生ならではのテクニック!的な派手な飛び技の勉強はこのタイミングではやりません

ですから、5月病と云いますか、この時期にダレる小学生は非常に多いわけです。

 

小学生としては、受験に対する実感がまだ具体的に湧かなく、

また、小学校も運動会や修学旅行といったイベントが多く、

かつ「夏休みに頑張ればいいや」と考えている場合が結構多いので、

どうしてもモチベーションが上がらないのはごく自然なことだと思います。

 

②8月

【主な原因】:周りは夏休みに遊んでいる中、必死に勉強しなければならない辛さ

 

8月はとにかく勉強!勉強!勉強!という感じで四六時中夏期講習なり自習なり勉強に追われるので、

メンタル的に追い詰められるというよりは(そこまで考える余裕がない)

体力的に疲弊して「なんでここまでして勉強しなければいけないんだろう」となり、

モチベーションが下がるパターンが多いと思います。

 

小学生は大人と違ってあまり体力がない状態である上に、

おそらく彼らのうち大多数は生まれて初めて、40日という長期間を勉強のみに費やすという超ハードな経験をするので、

これに耐えきることができるのかという体力的なハードルがかなり高いです。

 

僕が小学生だった時はまだ周りも携帯電話といったものはあまり持っていなく(キッズケータイを持っている人はぼちぼちいましたが、あくまでそれは親との連絡用という目的でした)、またLINEなど存在しなかったので、友達とは小学校を通してしか会うことがなく、つまり夏休み中は顔を合わせたりすることはありませんでした。ですから、中学受験をしない小学校の同級生に遊ぼうと誘われたりすることはなかったので、メンタル的に揺さぶられることはありませんでした

 

 

一方、今時の小学生はタブレットなりスマホなどを持っていますし、

小学校の友達とSNSを通じて繋がってますし、

夏休みに遊んでる写真をSNSを通して見てしまったり

LINEなどで遊びに誘われたらかなりメンタルに響くのではないかな、という懸念があります。

 

実際、僕が大学受験で浪人していた時に、現役で受かった同期がFacebookなどに女の子たちと仲良くしている文化祭の写真や近況をアップロードしているのを見た時にかなりメンタル的にきついものがあったのは鮮明に覚えています。

(僕は5月でタブレットを封印して浪人の一年はガラケーで過ごしていました)

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浪人期に僕を悩ませた友達のSNSでの近況報告

 

 

③9月

【主な原因】:夏休みに必死で勉強したのに思ったより成績が伸びない辛さ

 

これは受験生あるあるの悩ましい時期ですね。

というのも9月というのは夏休みが明けて最初の模試があるタイミングです。

当然ですが、受験生達は夏休みに勉強を捧げているので、夏休み明けに偏差値が爆上がりするのを求めてますし、上がると思っています。

 

しかし、偏差値は周りの出来具合の中での自分の立ち位置によって決まるものなので、偏差値は思ったより上がらないものです。

なぜなら、40日間の勉強によって確実に実力はついていますが、周りも必死に勉強して偏差値がグンと上がってくるので、その結果平均点もかなり上がってくるからです。

 

「あれだけ頑張ったのに俺の努力はなんだったんだろう…」となってメンタル的にがっくりくる時期だと言えます。

 

 

④11月

【主な原因】:受験までの残り日数と成績がついてこないことに対する焦り

 

これは特に成績上位勢によくあることです。

個人的にはこの時期が特に一番辛いと思います。

 

なぜならこの時期に成績上位陣は成績が天井にあたります

つまり、勉強で伸ばせる余地があまりなくなってきて模試でも点数は頭打ちで伸びなくなってきます。

 

それに対し、11月は成績中位勢が大きく平均点を上げてくるので、平均点が上がっている中で自分の点数が変わらないとなると自然に偏差値は降下し始めます

 

11月という時期は志望校の名前を冠したその中学の入試問題を想定した模試(本番の場所を借りてやる場合もある)があるタイミングです。

塾によっては11月から軽く追い込みが始まりますし、

志望校の見直し併願校の検討といったことをやりますから、

受験が一気に間近に感じる時期なんですよね。

だいたい11月の中旬に2/1まで残り〜日といった紙が貼られますし。

 

今まで志望校に受かることを考えて頑張るだけでよかったのが、

志望校の見直しや併願校の検討といった、現実に向き合わなければならないことが出てくるので、もちろん塾の先生は一人でも多くの生徒を中学に合格させるのが仕事ですから、

偏差値が低迷してる生徒には容赦なく志望校の見直しを薦めてきます

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生徒からすると自分が全否定された気分になる

 

生徒視点で考えると、

必死で頑張っているのに成績が出ない

上がらないどころか下がってきている、

それだけでもしんどいし、気がつけば受験はもう目の前だし、

塾の先生にはなだめてもらいたいし、励ましてほしいのに

志望校を変えたらどうかということを言ってくる

といったような多重の苦しみに苛まれます。

 

親子共にダントツで11月が一番苦しい時期なのではないかなと個人的に思います。

 

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11月が一番苦しい(成績上位陣にとっては)

 

 

 

 

⑤1月

【主な原因】 :本番が刻一刻と近づくことに対する極度のプレッシャー

 

1月はプレッシャーに押しつぶされるタイプと、お祭り到来といったテンションになるタイプに分かれると思います。

 

当然、お祭り男の方が受験に対してポジティブな印象を持っているので、本番に強いタイプだと言えますが、極度のプレッシャーをごまかすためにお祭り男を演じているタイプも往々にあるので注意が必要です。

 

1月というと関西圏では本番の受験、そして首都圏の中学受験においてはお試し受験が始まる時期です。

 

正直、模試とは比べものにならない周りの緊張感と、本番の会場の雰囲気に圧倒されます。僕も受験生だった時、お試し受験が一番緊張しました。

 

お試し受験は受験の雰囲気に慣れることと、とりあえず一つ合格して弾みをつけることが目的ですから、

自分の実力より数段落としたランクのいわゆる安全パイ的な学校を受けるのが定石です。

 

僕はお試し受験で無事合格することができましたが、

たまに実力を全く発揮できず落ちる生徒がいます。

そうなったら完全に負のスパイラルにはまってしまいます。

ここからメンタルを立て直して本番に臨むのは相当難しいものがあると思います。

 

 

【解決方法】 

 

次にモチベーションの低下の原因となるこれらの【スランプ・中だるみ】に対する解決方法の提案をしたいと思います。

あくまでご提案なので、これらがいつどの時も最善の解決策であるわけではないということはご了承願います。

 

①中だるみ型

 

これは6月8月に関するお話です。

正直、6月は緊急度がそれほど高くはないので、優先順位は低くなりがちかもしれません。一方、周りの本気度もそれほど高くはない時期なので、やればやった分だけ偏差値が伸びやすい時期でもあります。

 

この時期は生徒側は勉強を四六時中やらなければいけない必要性をあまり理解していませんから、できるだけ遊びたいと思っています。

 

一方で、両親側は受験に対する危機感はまだあまり湧いていないものの、子供が勉強しないということに対して不安が湧くので、叱ったりするなどして子供に無理やり勉強させようとするというところにギャップが発生すると思います。

 

僕は解決方法として6月は気分転換に遊んでもいいと考えています。

僕の中では、毎日続けることが肝要な計算・暗記・漢字といったこと最低限のことさえすれば、遊ぶ日が週に数回ぐらいあるのはいいと思います。

この時期から張り詰めて勉強するのも疲れるので。

 

具体的にいうと、ゲームをしたり、テレビを見るのもいいと思います。

ただ、息抜きにゲームをしたり、テレビを見るにしても自然と勉強にリンクするようにするとパーフェクトですね。

 

夏休みは時間があまりないので6月のように遊ぶといったことは厳しいかもしれませんが、40日のうち全く勉強しないリフレッシュの日を1,2日程取るのは有効だと思います。

 

意外と遊びの時間に知ったことって強烈に記憶に残ったりしますよね。それと同じ理屈です。

 

例えば、ゲームでは『桃太郎電鉄』、テレビ番組では『Qさま』が個人的にはかなり息抜き、かつ良い勉強になったのはよく覚えています。

 

桃鉄は日本全国の物件を買い漁るゲームですからプレイするにつれて、

日本全国の主要都市の名前や、位置関係、気候やその都市の名産品といった

日本地理の体系的な学習に極めて効果的です。

 

Qさまはプレッシャースタディーを家族でみんなで晩御飯を食べながら見るという形が効果的でした。

例えば、家族の中で早押しクイズみたいな形で『この漢字の読み方わかった!』といった感じで見ると自然とスピード感も身につきますし、

逆に塾の模試の漢字問題で、「あ、これQ様で出てたやつだ」となることが結構あります。

 

また、これは6月ではなく5月の話になってしまいますが、

5月は志望校のイベントが多く開かれる季節でもあります。

 

例えば、東京で言えば、開成の運動会麻布の文化祭などが、関西では灘の文化祭があります。

 

これらのイベントはシンプルに面白いですし、各学校のスクールカラーが色濃く出るので志望校の雰囲気を肌で感じられると思います。

 

志望校の雰囲気を感じて、「この学校に行ってみたい」という気持ちを再確認すれば自然とモチベーションは湧いてきますよ。

 

学校と関係ない人がそれらのイベントに行ってももちろん歓迎されますし、「この学校に入りたい」って伝えると、学校の生徒の皆さんも昔は受験生でしたから、暖かく迎えてくれますしね。

 

②スランプ型

 

これは9月, 11月に言えることですね。

 

親も子供もきつい時期ですね。

 

これは正直、このスランプにはまってしまうと完全な解決策はありません。

スランプを必要以上に辛く感じさせないことぐらいしか手段を取ることはできません

 

根本的に解決、または回避するには夏休みを周囲の人より圧倒的に効率的に時間を使って、偏差値を向上させる必要があります

 

今回はこのスランプにはまってしまった際の辛さの緩和の方法について考えていたいと思います。

 

上記の通り、この時期の辛さの原因は

頑張っているのに報われない刻一刻と本番が迫るという現実

の2点に集約されます。

 

これに対して親が出来ること、いやしなければならないことは

①子供を全面的に信頼してあげる

②親の事情を子供に持ち出さない

この二点だと思います。

 

子供はこの時期、頑張っているのに成績が出ない、そして場合によっては先生から志望校の変更を勧められます。つまり、非情な現実に晒され、自信を失っている場合が多いです。この時に子供が本質的に親に求めているのはおべんちゃらや慰めの言葉ではなく、信頼です。

 

秋が深まってくるこの時期ですから、今まで子供にかけてきたコストなどを考えると、現実として退くに退けないタイミングだと思います。

退いても地獄、進んでも入試にかかるお金を用意したりと、

どちらを選ぶにしても地獄行きの、親からしても相当ピリピリする時期です。

 

しかし、絶対にそれを結果の出せない子供にその怒りをぶつけてはいけません。

今までお金をかけてきたのにどうしてくれるの!!」や「本当にやる気あるの!!ないならやめてしまいなさい!!」といった文言は絶対に言ってはいけません

 

結果が出ず、弱っている上に信頼を求めている状態でこういったことを言われてしまうと、子供はいよいよ逃げ場がなくなります。このような弱っている状態で奮起を促すような強い口調は追い打ちをかけるだけであり、自暴自棄になるのを促すだけです。

 

この時期はさすがに子供も背に腹は変えられない状況であるのはわかっているので、しっかり寄り添ってあげる、そのことが非常に大事だと思います。

 

 

③マリッジブルー型

 

これは1月、つまり本番直前に当てはまることです。

 

中だるみ型スランプ型マリッジブルー型と分類しましたが、これが一番対応するのは簡単だと思います。

 

なぜなら、終わりはすぐそこに見えてますから、受験に臨むマインドを少し変えてあげるだけでいいからです。

 

受験は結局はメンタルのスポーツです。

本番でいかに実力を出せるかが大事です。

 

1月で残り期間をいかに必死にやらせたところで時間的にやれることは限られていますから、いかに2月1日にいいコンディションで受験に臨めるかという環境作りをするだけなのです。

 

マリッジブルーといった類の不安に悩まされる受験生は

 

①今までの準備が無駄にならないか不安本番で力を出せるか不安

②もし落ちたらどうしよう

③今思い返せば、あれもやってない、これもやってない

④親や周りの人の期待に応えられるか不安

 

これらの4つに大別されると思います。

 

これらは

 

・親や周りの事情は関係ない。

・結果は出すものではなく、後から付いてくるもの。だから特別変なことをする必要は1ミリもない

・受験対策はもうやれるだけやったから量に関して心配することはない

・落ちても高校受験と大学受験があるし人生が終わるわけではない

入試でわからない問題は周りも解けてないから悩む必要はない

 

これらのシンプルな一言で解決できるので何の問題もありません。

 

これらを伝えた上で不安を吐露する受験生は気休めを求めている場合が多いので、基本的にはモチベーションアップのためにヨイショしてあげるぐらいで十分だと思います。

 

注意事項としては、親の緊張は子供に伝わりますから、いつも通りを心がける、これに尽きると思います。

 

 

【まとめ】

今回の記事はいかがでしたでしょうか。

 

「あー6月って実は何もないんだよな」と思って軽く書き出したつもりだったのですが、

状況別に分けて一つ一つのケースについて書き出したら意外とボリューミィになってしまいました。

 

次回以降もしばらく書くネタが6月はあまりないので首都圏の中学の入試問題の大雑把な傾向について次はまとめてみようかなと思っています。

 

これって、もしかして俺が思いっきり中だるみにはまってるやつだよな…

 

それでは今日はこの辺りで失礼します。また次回の記事でお会いしましょう。

さようなら。

 

【下克上】東大生が偏差値40の小学生を1年で御三家に合格させる 第6講【5月】

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こんばんは。とある東大生です。

 

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先週、教え始めてから初めてのマンスリーテスト(クラス替えテスト)があったのでそれの【結果報告】をしようと思います。

 

前回の記事はこちらです。

 

todaistudentlife.hatenablog.com

 

先に結果だけ報告するとクラスは3つ上がりました

 

目に見える形で一番早いタイミングで結果が出たのはとりあえず良かったです。

一方で、内訳を見ると内容が良くないので、むしろ生徒さんやご両親が有頂天にならないよう気を配らないといけないので、次回以降のトータルの長い目で見ると、意外と難しい状況になっているのかなと思います。

 

【科目別点数・偏差値】

 

科目別の内訳がこちらです。(※4月マンスリーとの比較です)

 

【4科目】206/500(42.6)→235/500(46.1)

【国語】71/150(43.8)→100/150(59.8)

【算数】44/150(41.1)→40/150(38.8)

【理科】44/100(42.6)→40/100(42.2)

【社会】47/100(50.2)→55/100(52.0)

 

★総合科目の偏差値だけを見ると3.5程上がっていますが、科目別の内訳を見てもらえるとわかるように、国語が今回爆発的に良かっただけで、他の教科はほぼ平行線です。

 

 

【気になった点数内訳】

 

次に夏休みまで特に重視している暗記・漢字・計算の項目の詳細です。

(※暗記は理科と社会の偏差値として上記の通りなので割愛します。)

 

 

【算数】

大問1(計算問題):5/15(Avg:8.0)

大問2(小問集合):5/35(Avg:20.5)

【国語】

大問1(漢字):14/20(Avg:17.6)

大問2(慣用句):15/20(Avg:14.6)

 

★やはり詰めの甘さが相当目立ちます。

特に算数の大問1,2の正答率の低さは酷いですね。

試験の方針として、計算問題と小問集合は将来的にボーナス問題だと思って、基本満点を取るつもりでやろう、という話はしたのですが、まだまだ時間はかかりそうです。

 

国語に関して言うとなかなかいいと思います。

もちろん漢字と慣用句の大問も満点を取るのが当たり前になってほしいですが、先月まではここの大問の正答率が半分を切っていたので、ここは大きな成長ですね。

もちろん、成長したことは褒めつつも、満点を当たり前のように取るという水準を高くキープして求め続けたいと思います。

 

【生徒さんの感想とそれに対する考察】

 

①「漢字は今回ものすごくできた。成長してる実感がある。」

 

漢字と慣用句はやった分だけ伸びる。やればできるというのはわかったから、もっと水準をあげて満点を毎回出して当たり前、という感覚にしよう

 

 

②「国語は説明文・物語文ともに簡単だった。偏差値60いったし俺って天才じゃね!!」

 

→偏差値60いったのは超ナイス!ツボにはまれば偏差値60ぐらいサラッと出しちゃうポテンシャルの高さは感じた。

しかし、今回の国語の成績はマグレによるところが多いと思う。

総合偏差値もクラスも国語に引っ張られて上がっているが、他の教科は変わっていないので、ここで満足することなく努力を積み重ねていこう。

ここで満足して舐めてかかるか、慢心することなく次に向けて切り替えられるかがターニングポイントになる

 

 

③「算数は以前はチンプンカンプンで時間が余っていたが、何回も繰り返しといた問題が多くテストに出たので、今回は問題を見た瞬間に解法がある程度見えた全部一応取りかかれたから時間が足りなかった。感触は良かったのに成績が全然伴っていない。

 

ちんぷんかんぷんな状態から、問題を見た瞬間に解法が見える段階まで成長したのはナイス!!一方で、点数や偏差値が全く上がっていないということは、これが点数に結びついていない。つまり、解き方が見えているのに答えが合っていないから点を取れていない。これはあまりにも勿体無い。算数の計算トレーニングはちゃんとやってる?それをちゃんとやって、わかった問題を確実に得点に結び付けられることができるようになれば偏差値は爆発的に上がるよ。少なくとも次回は正答率50%以上の問題は確実に正解できるように復習しておこう。それだけでも全然違うよ。

 

④「社会は今回から公民の内容が入ってきて少し難しかった。今長い時間をかけて社会の暗記と確認テストをやってるけど、マンスリーでは全く出なかった。やってる意味あるのかな。

 

公民は面白みのない暗記が多く面倒だが、テストに出るところは決まっているので、実はそこだけ覚えるのでOK。テストによく出る覚えなければいけないことは今度まとめます。暗記の件でいうと、来年の2/1に向けて逆算して今暗記してることを忘れないようにしよう。当たり前だけど、入試はマンスリーと違って特定の分野だけ出してくるのではなく、様々な分野からミックスして出してくる。つまりマンスリーとは根本的に違う。今やっていることは必ずあとで大きく効いてくる。今はしんどいけど辛抱強く頑張ろう。少なくともとりあえず1周目さえ終えれば、2周目以降は間違えたところだけでいいから負担は減るし、とりあえずそこまでなんとか頑張ろう。

 

【総括】

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毎日積み重ねることが一番大事

先程も述べましたが、今回はとりあえず結果が出たのは良かったです。

一方で、今回の成績はひとえに突発的に良かった国語のおかげであり、

特に力を入れている暗記・計算・漢字の面で目立った成長は漢字を除いて見られませんでした

ここは個人的に大きな反省ポイントです。

ここで天狗になってしまうと、また「ふりだしに戻る」状態になってしまいます。そこは気をつけてやっていきたいと思います。

 

一方で、前回の【カリキュラム編】でも述べた通り、偏差値が急上昇するのは11月であり、今必死に偏差値やクラスを求めても仕方ありません。

 

むしろ、基本的な暗記事項の定着とともに、「勉強する上での基礎体力をつける」というテーマを掲げていましたが、計算など多少サボっているところはあるものの、基本的に僕が課している毎日の宿題はきちんとこなしてくれています

そこは評価すべきポイントだと思います。

 

むしろ一番大事な目標である「毎日勉強するのは当たり前」という状態になりつつあるという点で万々歳、偏差値といったものはどっしり構えていて良い、成績は後から付いてくるから、という考え方でいいのかなと思ってます。

 

とりあえず、僕のできることを日々コツコツ少しずつ積み重ねていこうと考えている次第です。

 

それでは、今日はこの辺りで失礼します。

次回もまた宜しくお願いします。

 

 

【下克上】東大生が偏差値40の小学生を1年で御三家に合格させる 第5講【5月】【カリキュラム】【前編】

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こんにちは。とある東大生です。

前回の記事はこちらです。

 

todaistudentlife.hatenablog.com

 前回③と④で生徒さんの特徴について書きました。

今回は一年を通しての来年2020年の2月1日までの具体的なカリキュラム戦略について書きたいと思います。

【カリキュラム編】は前編(夏休みまで)・中編(夏休み)・後編(夏休み以降)に分けてお話ししたいと思います。

ある意味ここからが本番です。

 

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①夏休みに入るまでが勝負

 

中学の入試の本番である2/1まで残り【8か月】です。

残り8か月で今のクラスのままでは(下から数えたほうが早い)データ上の合格確率は極めて低いでしょう。それは厳然たるデータであり、数字は裏切らないです。

 

ですから、一刻も早くクラスを上げていくのがマストです。

そこで僕が達成しなければならないミッションが以下のとおりです。

 

 

MUST:夏休みに入るまでに志望校別特訓に参加できる最低ラインのクラスに上げる

 

 

なぜ夏休みまでなのか。

 

夏休みは1か月丸々休みなので時間の使い方によっては差を大幅に詰める大チャンスであり、一方でサボってしまうと修復不可能なレベルで差を広げられ時間切れでゲームオーバーになる勝負の1か月である。

 

志望校別特訓のクラスに入ることの何が良いかというと、志望校の入試問題の傾向と対策に触れられる上に、それを受けているのは基本的にそこの中学志望の小学生ばかりなので、周りの受験の水準や自分の立ち位置を席次や生徒同士の情報交換を通して肌身に感じられる。

その結果、危機感が生まれ、勉強するモチベーションを失いにくい

つまり、夏休みの一ヶ月を有意義に使える。

 

志望校別特訓が本格的に開始するのが夏休み頃である。夏休み以降は特訓のメンバーを締め切って新しい生徒を受け入れないケースが多いので、志望校別特訓に滑り込む最後のタイミングである。

 

一方で夏休みまでにやらなければいけないことがあります。

 

それは【暗記事項の徹底的な見直し】です。

 

マンスリーのテストで好成績を出して、クラスを上げることだけを考えるのであれば、授業時間はひたすら次回のマンスリーの範囲のみ、かつ出そうな問題のみをピックアップしてひたすら解いて解説するという形をとればなんとかなると思いますが、このようにマンスリーばかりに囚われて【入試に合格するという目標】を見失うのは本末転倒です。

 

あくまでマンスリーは

日頃の勉強がうまくいっているかを測る目安】程度

使おうと思っています。

 

とはいえ、テスト範囲外の事を総まとめしながらも最低限マンスリーのための準備をしてクラスを上げていかないといけないので、

やらなければならないことが多い、そして今まで椅子に座って勉強する習慣があまり身についていない状態で地味な基礎的トレーニングを反復しなければならないので生徒もしんどい、そして努力量に対して結果がすぐに目に見えてついてこないので親子共にしんどい、というかなりタフな期間になります

 

夏休みにちゃんと時間を有効活用できるかが入試の合否を一番左右するのは間違いありませんが、夏休みに時間を有効活用するための基礎的な下準備、そして今までサボって抱えてきた負債を清算するイメージです。

 

ですから、この時期に下準備ができないと、夏休みを有効に使えない、つまりお話にならない状態になるわけです。

 

また、この時期に暗記を仕上げておくことが後々大きく効いてきます。

僕のイメージでは偏差値および実力が大きく伸びる時期が11月と想定しています。

 

つまり、7月までに前提となる知識を固めて夏休みで比較的難易度の低い典型問題徹底的反復し、9月以降は時間の使い方・捨て問の選別といった具体的なテクニックや応用問題に慣れる実践的な訓練を積み、それらが高いレベルで融合して一気に成績が急上昇するという算段です。

 

当然ですが、思考力というのは知識の上に成り立っています。というのも頭を使うには最低限の前提知識が必要です。

 

例えば、洗濯と皿洗いと掃除を45分以内に終えて家を出なければならないという状況があったとします。

この時、「どうやって45分以内で家事を片付けて外出の準備をするか」ということについて思考すると思うのですが(主婦の方は経験で考えなくても体が反応するかもしれませんが)

 

洗濯は一回スイッチを回せば、出来上がるまでに40分かかる。

だから先に洗濯のスイッチだけ押しといて、皿洗いを5分で済ませよう。

皿洗いのあとは掃除をしよう。掃除は20分かかる。

掃除を終えても洗濯し終わるまで15分ある。その15分で外出の準備をしよう。

いつもは外出の準備に20分かかるから今日はがっつりメイクじゃなくてお手軽メイクにしよう。そして口元はマスクで隠そう。

洗濯機ができてから家を出るまでは5分しかない。だから洗濯が終わったら超速で干そう。

 

という形で思考し、答えを出すと思います。

しかし、これらは掃除、皿洗い、洗濯、メイクにどれぐらい時間がかかるかが経験的に知識として頭にあるからこの思考ができるのであって、もし仮に引っ越したばかりでどれをどこに収納するかなどが瞬時に分からない状態であれば、つまり、知識があやふやな状態であればこのように時間の概算や思考ができません

 

 このように思考は大事だが、その大前提として知識が必要であり、秋以降に思考力をつけて成績を伸ばすために、今この時期に暗記を最優先にこだわらなければならない理由がお分かりいただけたと思います。

 

②具体的な方法について。

 

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ここからは具体的な方法論です。

僕は基本的に月水金の週3回、1回2時間で指導しています。

曜日によって、やる内容は変えたりしません。

7月までは基本的に同じ内容を続けます。つまり、暗記基礎レベルに重きを置いた授業内容です。

 

 

前半の1時間:暗記漢字熟語の宿題の確認テスト

後半の1時間:デイリーサピックス(算数)初中級レベルの問題を3問程度ピックアップして解かせる&解説(新しいデイリーサピックスが配られるまで毎回同じ問題を反復練習)

 

 

以上の通りとなります。

 

宿題については

 

国語:試験範囲内のサピックスの「漢字の泉」と「言葉ナビ」を1日2ページ(マンスリーまでに3周できる計算)

算数:サピックスの「算数基礎力トレーニング」を1日1ページ

理科:僕が購入した理科の参考書を1日2ページ暗記

社会:同じく購入した歴史地理参考書をそれぞれ1日2ページ

 

を生徒に課しています。(購入した参考書については次回以降に参考書編で紹介します。)

 

生徒さんに強調しているポイントとしては

 

毎日絶対に決められた量をコンスタントにやること。

②流し読みで終えるのではなく、その範囲の暗記事項を必ずその日は全て覚えること。その上で確認テストで思い出せないのは仕方ない

③自分で確認した時に一度でも思い出せない単語があったらチェックマークを入れること。

2周目以降は自分の間違えたチェックマークが入っている場所だけで良い。間違えたら、さらにその上にチェックマークを重ねる

 

この4点を徹底しています。

 

つまり、このルールの狙いは

 

①毎日一定時間机に向かう習慣をつける。

詰めの甘さを許さない。一方で各授業のテストに対して恐怖心を植え付けない。

③自分の苦手な単元・単語の可視化

④二周目以降は苦手分野のみを集中的に取り組めるので勉強効率が上がる。また、間違えた回数に応じてチェックマークが増えていくので、苦手分野の中でも苦手度がビジュアルで一目瞭然になる。

 

とりあえずこれを7月まで粘り強く続けることができれば、受験勉強をする上での基礎体力の面では問題ないレベルにはなると思います。

 

一方で、この勉強サイクルが破綻するパターンとして考えられるのは

 

宿題量が生徒のキャパシティを超えていて、やる気を失う

②確認テストのスパンが長く、すべての範囲を確認できなくなる→生徒さんが手抜きを始めても気付けない、またはやってないのにやったと嘘をつくようになる

 

この2パターンがほとんどだと思います。

それを防ぐため、量調整には相当気を配りながら、また授業時間を短くする代わりにスパンをできるだけ短くして(当初は月金でしたが、月水金に変更したので)確認を網羅的かつ狭い範囲で生徒さんも楽になるよう配慮しています。

 

これらのことは必ずしも家庭教師である僕だけができることではなく、手の空いている親のどちらかが毎日暗記確認をするのが望ましいのですが、現状として共働きで両親ともに相当忙しく、なかなか早く帰ってこれないなど事情がありますので、暗記テストは僕が担当しています。(今の時期で考えると暗記確認はそれだけ大事なので。)

 

それらはともかく、肝心の生徒さんが気持ち良く勉強できるよう、伸びた分だけ思いっきり褒め、モチベーションを削ぐようなネガティブな事は極力言わないよう気をつけて指導したいと思います!

 

だって主人公は生徒さんなのですから!!

 

それでは次回は【担当して初めてのマンスリーの結果】について書きたいと思います。

ぜひこ期待下さい。

それでは失礼します。  

 

【下克上】東大生が偏差値40の小学生を1年で御三家に合格させる 第4講【5月】

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こんにちは。とある東大生です。

 

【1ヶ月授業を終えての感想】の話の続きです。

前回の記事はこちらです。

 

todaistudentlife.hatenablog.com

 

授業を1ヶ月やってみてわかった生徒さんの特徴についてお話しさせていただいています。今回はその【後編】です。

授業を一ヶ月やってみると生徒さんの長所もわかれば、短所もわかります。前回の記事は主に長所について書きましたが、今回は短所について書きたいと思います。

 

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頭は良いのにサボり症

 

①想像以上に今まで全く勉強していなかった

 

これはある意味、ポジティブにとらえることもできるマイナス面です。

つまり、これ以上無理というほど勉強して今の成績なら厳しいかもしれませんが、全くやってない分伸びしろだらけということです。

 

むしろ逆に捉えると、今まで何もやってないのに小学6年生の4月時点で偏差値が40もとれているのはポテンシャルとして申し分ありません。

 

一方で、今まで勉強を全くしてないということは、ある点において確実にマイナスとなります。

それは、「勉強をする基礎体力がない」ということです。

 

残り一年弱という短い時間の中で結果を出そうと考えた場合、第一優先として勉強の密度を高めなければいけません。

 

勉強の密度を高めるためには集中力が必要不可欠となります。

 

今までまともに勉強をしたことがない人を教えるとなると、まず勉強をを毎日するという習慣づくりや集中力を維持する練習をしなければなりません

 

そして集中力はすぐ身につくものではないので、どうしても基礎体力作りには時間がかかってしまいます。

 

また、できれば最初の授業からエンジン全開…といきたいところですが、1回の授業時間である3時間もそれを維持するのはとても難しかったです。

 

そのため、週2回3時間で授業するつもりでしたが、週3回2時間で授業を行うことにしました。

 

②理科が壊滅的に苦手だった

 

これはちょっと困った話です。

 

今まで基本的な勉強の積み重ねをしてこなかったため、

問題を解く上で基本前提になる暗記知識が出来上がっていない、というのもありますが(※社会に限って言うと、好きだったのでちゃんと授業を聞いていたので基本的な暗記ができていた)

圧倒的な地頭の良さを誇るのに、理科だけ飲み込みが悪いのです。

(特に星座や太陽の動きといった地学関係)

 

つまり、簡単に言うと

理科アレルギーを起こしている

と考えられます。

 

理想を言えばアレルギーを持っていない方がベストなのですが、現実として中々頑固なアレルギーを持ってしまってる以上、それと向き合う必要があります。

 

そういう教科は仮に指導が上手くいったとしても、得意教科になることはありません。

超苦手ではなくなる、他の受験生に差をつけられない程度には取れるといったレベルまで引き上げるので精一杯になると思います。

なぜなら、無意識のうちに苦手意識を持っているため、どうしても勉強の時に後回しにしてしまいがちなところがあるからです。

 

この問題に対しては、最低限入試で致命傷にならないレベルに持っていくことを目標に設定し、最低限の暗記事項といったことを反復練習で詰め込もうと思っています。 

 

③計算力と漢字力が全くなかった

③は主に①の【想像以上に今まで勉強をしてこなかった】という問題の派生であります。つまり、生徒さんは考えることや理解力・吸収力といった才能の部分のポテンシャルは極めて高いのですが、努力で養えること、その代表例である漢字力計算力が完全に欠如していることがわかりました。

 

漢字力計算力は合否に大きな影響を与えます。中学受験においてはなおさらです。

漢字は国語においてダイレクトに影響を与えます。

漢字は知っているか知っていないかだけの問題なので、トレーニングを積めば、絶対に解くことができます。

入試問題における漢字・熟語・ことわざのウェイトは国語全体の10%程度なので、仮に落としたところで一見大きな影響はないように思われますが、

「確実に取れる10点」を持っているのと持っていないので、心理的にも戦略的にも絶大な影響を与えます。これは算数における計算力も同様です。

 

漢字は合っていることが前提とされます。つまり、漢字問題以外の記述問題や、社会の人名を問う問題でも漢字を間違えると減点を食らいます。頭の中では「わかっている」問題なのに、漢字ミスのせいで取れるはずだった点数をしっかり稼ぐことができない、その結果テストの感触が仮に良かったとしても思ったより成績が伸びないというケースが多々発生します。

 

計算も同様です。

特にこれは中学受験に置いて顕著な傾向なのですが、中学受験の算数は答えが合っているかのみを判断する学校が大多数(一部の問題のみ式を書かせる問題があるケースが多い)、途中計算も採点に入れる学校はかなり少数です。

つまり発想の部分が合っていても、「完答」しないと0点になってしまうわけです。計算力に難があると「早く、正確な」計算ができないので、一問あたりにかかる時間が長くなる、そして時間をかけて出した答えも正確性が低いので、

簡単に言うと二重のリスクを抱えているので、それが点数に直結してしまうのです。

 

これは非常にもったいない話です。せっかく地頭はいいのに、答えまでの道のりは見えているのに、点を取ることができない。一方で漢字や計算といった基本的なスキルは毎日の積み重ねで徐々に仕上げていくしかないので、自分のイメージと成績が重なるまで相当時間がかかりますし、それまではものすごくフラストレーションががたまると思われます。

 

「早く・正確に」を合言葉に、自分が指導できない曜日も「毎日の日課」として漢字と計算を自然と解くようになる環境作りをしてあげることが今回の受験がうまくいくかの分かれ道になるのは間違いなさそうです。

 

逆にこれが日課として定着してくれれば、「詰めの甘さ」を許さない、受験という、勝負の場に立つ人としてのメンタルも自然と出来てくるので成績を上げる上で好循環になるのではないかなと思っています。 

 

とりあえず5月21日にクラス替えの試験があるので(執筆完了時にはすでに終わっていますが)、それに向けてまずは全力を出してみてどのような結果を取るかという反応を見てみようと思います。

 

次回は【受験当日までの僕のカリキュラム・戦略】についてお話しする予定です。

 

それでは失礼いたします。また次回も宜しくお願い致します。

GUCCIの”盗用”問題についての考察と感想

こんにちは。とある東大生です。

 

先日このようなニュースが出て話題になりましたが皆様はご存知でしょうか?

headlines.yahoo.co.jp

 

簡単に要約すると、GUCCIが新作発表のファッションショーにおいて、シク教徒を連想させる、頭部にターバンを巻いたルックを披露し、その結果シク教を冒涜・盗用しているとして世界で非難を浴びている、または論争になっているという話です。

 

インド人のイメージとしてターバンはよく出てきますが、ターバンはシク教の特徴であり、実は割合的にはそれほど多くはないんですよ。(割合としては国内シェアわずか1.9%!)

信者数としては約3000万人であり、世界で5番目に信者が多い宗教ではありますが、さすがは人口世界2位のインドです。13億の力は半端じゃないです。

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シク教の特徴:ターバン

 

今回はこの話題について個人的に感じたことを、ある一つの命題を立てて、それに対して論じるという形で、お話ししたいと思います。ややこしいことを言っていますが、要するに一人で討論してみて個人的な見解を示すということです。

 

 

命題:今回のターバン事件において、GUCCIは"悪い"ことをした。

 

 

僕は先に結論を言うとGUCCIは今回の件においては"悪い"ことをしていないと考えています。その根拠についてまず話したいと思います。

 

 

擁護の根拠①クリエーションと盗用の定義

 

まずクリエーションという言葉について調べてみました。デジタル大辞泉

 によると、「クリエーション:創造。創作。」とのみ書いてあります。

 

次に創作という言葉について調べてみました。

 

デジタル大辞泉によると、

創作:

新しいものをつくり出すこと。「新式の工具を創作する」
文学・絵画などの芸術を独創的につくり出すこと。また、その作品。「物語を創作する」「創作舞踊」
③ つくりごと。うそ。「そんな言い訳は彼の創作だ」

 

また、ビジネス面でより具体的に書かれている産学連携キーワード辞典 によると、

創作:

「創作」とは、特許法第2条第1項で述べられている発明となるのための条件の1つで、新しいことを作り出すこと自明でないことをいう。何も作り出さない「発見」とは区別される。したがって、天然物の単なる発見などは、特許法上の発明には該当しないが、天然物から人為的に分離した科学物質を作り出すことは「創作」であり、発明に該当する。

 

と書かれています。

 

次に盗用について調べてみます。

 

大辞林第三版によると

他人のものを盗んで使うこと。許可を得ないで用いること。

 

と書いてあります。要するに皆さんがイメージしてる”パクリ”っていうことですよね。

もう少し具体的に考えてみたいと思います。

 

このサイトのブログが非常にわかりやすかったので今回参考にさせていただきました。

storialaw.jp

 

こちらの法律事務所の解説によると、法律上の観点から見た場合

なんとなく似ているのと著作権侵害、つまり盗用は全く異なるようです。

 

"なんとなく似ている"のと"著作権侵害"かを区別する手段として両者の類似点を抽出して、その類似点の性質がある一定の条件を満たすと初めて著作権侵害が認められるようです。

 

つまり、共通点の性質として、

①アイデアや思想に過ぎない場合

②表現上の創作性が認められない場合(共通部分が普遍的な概念の場合)

は著作権侵害には当てはまらず、

抽出した共通の部分に「表現上の本質的な特徴の同一性」がある場合にはじめて類似性が認められ、著作権侵害が当てはまるようです。

 

下図が非常にわかりやすかったのでお借りして貼っておきます。

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著作権侵害ではない①

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著作権侵害ではない②

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これはアウト


概念としては一目瞭然でわかりやすいのですが、

いざ実際に考えてみるとWhat is 「表現上の本質的な特徴」?ってってなるんですよね。

 

今回のGUCCIの場合はシク教のターバンとの共通点は

 

・布を頭に巻き付けて覆っている

・モデルの衣装もアジアを連想させる内容で、シク教を念頭に入れてると思われる

 

ぐらいなんですよね。ネットから画像を見てる限り。

 

布を頭に巻き付けて覆う、という要素はバンダナでもありますから普遍的な概念ですし、おそらく宗教からインスピレーションを得て作ってるので、デザインの根底の概念は共通なのかもしれませんが、それも法的にセーフだと定義されています。

 

確かに、面積がデカめの"ガチ"なターバンをいかにもな形で巻いてるのでシク教を連想させ、その結果今回の騒動になったのかもしれません。

 

ネットで調べてみたところ、シク教のターバンの巻き方や布面積の大きさは人によって様々でした。(頭を覆えばOKらしい)

 

もし"シク教の巻き方はこれだ!"というのが一義的に決まっていたら、その巻き方はそれをシク教たらしめるアイデンティティとして、「表現上の本質的な特徴」になりますし、GUCCIのターバンの巻き方とそれが一緒であったりしたら、話は変わってくるのでしょうが、上記のブログによる解説を基にすれば、法的な観点から見てアウトではないのかなと僕は思います。


 

擁護の根拠②冒涜している?


今回、GUCCIに関する議論で糾弾している側の主張の根拠は盗用という法的なところと、シク教を真似している=侮辱しているという感情論の主な二点に分けられると思います。

 

擁護の意見①においては法的な観点から論じてみましたが、②は主に感情論についてです。

感情論については法律と違って白黒の判定がつけるのが難しく、多数派が押し切ったり、声をあげたもの勝ちみたいなことがしばしば発生するので何が正解とかは論じるのはできないんですがここは僕の意見を述べてみたいと思います。

 

冒涜に関する議論についてはちょっと稚拙すぎるかなというのが僕の正直な感想です。

 

冒涜というのは明らかにあるものを連想させる相手がいて、その対象とマイナスイメージを結びつける、または相手の信念に傷をつけることがあれば冒涜という行為だと考えています。

 

つまり、今回の件で考えた場合、このターバン風のルックがどのような文脈・ニュアンスで使われたかがこの議論において重要だと僕は思います。

 

それについて調べてみたところ、以下の記事がありました。

 

www.wwdjapan.com

 

この記事を読む限り、GUCCIは多様性をビジネスやファッションとして受け入れ、その一環として今回ダイバーシティを表現するためにこのコレクションを発表したものだと考えられます。(このコレクションを発表したのは去年ですが。)

 

つまり、このコレクションからは多様性へのリスペクトと、多様性を受け入れるというGUCCIの姿勢を非常に強く感じます。

 

ということは、このコレクションおよびターバン風のルックは少なくとも揶揄といったマイナスな文脈では用いられていないわけです。

 

その一部を切り抜き、それを見て人々が「宗教や肌の色といったセンシティブな話題に足を突っ込んでいるからけしからん。それは冒涜だ。」という理屈で叩いている印象があります。

 

多様性に対するリスペクトが、恣意的な切り取り方により、結果として多様性を否定するニュアンス、つまり全く逆の意味で用いられているのです。これはあまりにも馬鹿げていると思います。馬鹿げているというのは誤解を招くように恣意的に切り取るメディアもそうですし、それに踊らされて正義を振りかざしている気分になって叩いている人々の両者です。

 

切り取り方の怖さを物語るたとえ話として桃太郎があります。

桃太郎は簡単に流れを説明すると、

 

桃から桃太郎が生まれる

→成長して、昔から財宝を奪い、村を苦しめる鬼の退治に向かう

→途中で猿・犬・雉を仲間に加える

→鬼ヶ島に到着

→鬼ヶ島を急襲

→鬼退治に成功、財宝を奪取

→皆に歓迎され、村に凱旋

 

という勧善懲悪の分かりやすい話ですよね。

しかし場合によっては、

 

(桃から桃太郎が生まれる)

→(成長して、昔から財宝を奪い、村を苦しめる鬼の退治に向かう)

→(途中で猿・犬・雉を仲間に加える)

鬼ヶ島に到着

鬼ヶ島を急襲

鬼退治に成功、財宝を奪取

(皆に歓迎され、)村に凱旋

 

という切り方もすることができ、さらに鬼目線でこれを描けば、平和に楽しく暮らしていたところに突如桃太郎という強盗が襲いに来た挙句、略奪殺戮の限りを尽くして財産をすべて巻き上げるという、本来とは全く逆のストーリーを嘘をでっち上げることなく構成することができるのです。

 

つまり何が言いたいというと、嘘をでっち上げなくても物事の切り取り方を変えるだけで、それが人に与える印象は大きく変わる可能性があり、その切り取られた一部の情報を見てそれを"事実"と見なして多くの人々はその上に踊らされている現実が実際にある、だからこそ我々は目の前の情報のみを思考停止して鵜呑みにすべきでないということです。

 

というわけで、感情論の立場から考えても、GUCCIは別にシク教を揶揄する文脈でターバン風のルックを発表してない上、むしろ多様性を尊重し、シク教含め宗教に対して歩み寄ろうというスタンスが見えているのに、そこを逆に冒涜だとして無下に扱うのはちょっとナンセンスかなと思いました。

 

それでは、次に”GUCCIが悪いだろ"という立場での言い分を検討してみたいと思います。

 

反論①どう考えてもワキが甘い

 

GUCCIといえば、つい最近も人種差別疑惑で炎上したという話を知っていらっしゃる方も多いと思います。具体的にいうと、目出し帽風ニットが、黒人以外の役者が黒人の役を演じるために施す化粧であるブラックフェイスを想起させるものであり、黒人差別であるとして、大炎上したという話です。

www.wwdjapan.com

 

確かに、これは明らかに口の周囲を唇を連想させる赤色に塗り、ニットも真っ黒であることから、黒人の特徴である厚い唇と黒い肌を想起させます。また、黒人モデルが着用したらまだ良かったのかもしれませんが、白人モデルがこれを着用したことにより、ブラックフェイスを想起させてしまう内容となり、さらにGUCCIの公式twitterで「黒人歴史月間おめでとう」というコメントとともに発表した結果、炎上したのです。

 

これはどちらかというとブラックフェイスというタブーの文化にわざわざ踏み込んでしまったGUCCIが悪いのもありますが、黒い目出し帽風ニットが悪いというよりも、今日の多様性を認めつつある国際社会において”完全な悪”であるブラックフェイスという文化のせいで割を食らったというのはあります。

 

なぜブラックフェイスが悪い文化なのか話し始めると長くなるので、超簡略にまとめますが、

19世紀から1960年代に至るまで、当時黒人の俳優がいなかったので(黒人は人種差別や教養不足で俳優になれなかった)、白人が黒人の役をやらざるをえず、顔に黒塗りを施した。また、当時の映画の中でブラックフェイスを施した黒人役の俳優は馬鹿でファニーな役柄をやることが多かった(当時黒人はあまり学校に通えなかったので教養がない人が多かったため)。つまり、明らかに黒人を揶揄する文脈、もしくはイメージで使われることが多かった。だから、顔を黒く塗ること自体が"悪い"ことなのではなく、顔を黒塗りにすることが当時の人種差別を想起させるのでタブーなのである、という話です。

 

※どれぐらいブラックフェイスがタブー視されているかというと、一昨年の年末のガキ使でダウンタウンの浜ちゃんがブラックフェイスを施した様子がイギリスのBBCで取り上げられ、問題視されているぐらいです。(浜ちゃんは馬鹿で陽気な天パでちょび髭の黒人という当時の洋画で頻繁に出てくる典型的な黒人役の服装をしています)

www.bbc.com

 

前置きが長くなりましたが、要するにGUCCIは"やらかした"わけです。

GUCCI自体が人種差別を肯定したわけではありませんが、白人をモデルとして黒ニットを着せた結果、ブラックフェイスという人種差別の象徴となる文化を想起させ、かつアフリカ系アメリカ人の活躍の歴史を振り返る月間、つまりは人種差別開放の歴史を振り返る月間を讃える文脈でこのブラックフェイスと捉えかねられないルックを公開してしまったのです。

 

不適切”なルックを”不適切な文脈"で出してしまったわけです。

更には人種差別というデリケートな話題であるにも関わらず。

 

これはターバン風ルックの件でも当てはまります。

 

人種差別や宗教という(それを想起させる)明らかにセンシティブな内容への配慮が足りなかったのはあると思います。

 

具体的に言えば、ターバン風ルックをするモデルにシク教徒を起用していたら話はだいぶ変わっていたのかもしれません。

 

ただ、”いかにも”シク教徒がターバンを巻いても面白くない。シク教徒には見えない非インド系が、イケてるターバンを巻いたら面白いんじゃないか、もしくは多様性という意図で”あえて” このように演出したのかもしれません。

 

※実はこのターバンとニットは同じ2019-20秋冬のコレクションとして発表されたものなのです。つまり同じコレクションで発表されたものです。人種、宗教といった多様性を表現するためにグッチなりに表現をしたら、それが”攻めすぎていた”、もしくは論争が起きるのも織り込み済みだったというのが実際のところだと思います。

 

 

反論②行為を受けた側が不快に感じたらその時点でハラスメントとして成立する

 

ここに至るまで触れていませんでしたが、今回このターバンの件について抗議したのがシク教の市民団体であるというのはポイントだと思います。

 

もしシク教とは何の関係もない人が”これは宗教に対しての差別だろ!"って騒いでたのであれば、それは正義面をする一般大衆による価値観の押し付けであり、問題にはならないのかもしれませんが(この場合、当の本人はそれほど不快に感じていないケースが多々あるから)、上記のニュースによるとシク教の関係者団体が声をあげています。

 

そこでハラスメントの定義について調べてみました。

大阪医科大学の説明によると(https://www.osaka-med.ac.jp/deps/jinji/harassment/definition.htm),

ハラスメントとは様々な場面での「嫌がらせ・いじめ」を指し、他者に他する行動・言動が本人の意図に関係なく、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与えること、だと書かれています。

 

つまり、今回のケースを当てはめた場合、GUCCIがどれほど社会的に意義のあることをしていたとしても、また宗教や人種差別といったことに配慮をしていたとしてもシク教の関係者から見て不快だった場合、それは『ハラスメント』になるのです。

 

※ここからは個人の感想です

しかし、ハラスメントの話題において非常に難しいなと日頃から感じていることとして、『全員が満足することはなかなか存在しない』ということがあります。

 

定義上1人でも不快に感じることがあれば、それはハラスメントに当該しますが、現実として1個人がどれだけ不快に感じようが社会はなかなか変わらないというのがあります。

なぜなら、一人が反論の声をあげて、いちいちそれに立ち止まっていた場合、政治や社会は前に進まないからです。

結果として政治は51:49で賛成多数となる着地点を探りながら前へ進むという形を取っているのですが(これは以前経産省に勤める官僚の方とお話しさせていただいた際に伺ったことです)この政治形態が一人の不満も認めないハラスメントの概念と相反するからです。

 

一方でSNSの台頭により、個人であっても"インフルエンサー"と呼ばれる影響力を持つ者が世界中に多数現れ、彼らが問題提起したことが議論になり、または彼らの言うことが"正義"だとして社会的なムーブメントになることが多々有ります。

 

そして、最終的には彼らが提起したハラスメントが乱立して、何をするにも肩身が狭い思いをする時代に徐々になると思います。100:0を求めて何も動けない社会になるか、49を排除して100:0を作り出す社会になってしまうという危険をはらんだ難しい局面に来ているなと感じています。

 

まとめ

今回は「GUCCIは悪いことをしたのか?」という命題を立てて論ずるということをやってみました。結論としては上で述べたように、GUCCIは悪いことはやってないと僕は個人的に思っています。

 

なぜなら、GUCCIは白黒がつく法律的な観点においてはなんの問題もなく、感情論といった漠然とした議論においても、議論を招くことは起こしていても、決定的にアウトなことはやっていないからです。

 

一方でハラスメントという難しい問題に直面しましたが、これは個人においても企業という人間の集合体においても、それらがいかなる意思決定を行う際にもつきまとう問題なので、今回のケースでハラスメントに接触しているから"悪い"という結論を出すと、何事もアウトになりかねないので今回はこういう結論を出しました。

 

皆様は『Standing on the shoulders of Giants』という言葉はご存知でしょうか?

巨人の肩の上に立つ』という言葉の方が有名かもしれません。

これは万有引力の法則の発見で有名なアイザック・ニュートンの名言です。

この格言は大学に入ってアカデミックな分野を学ぶ際に教授に教えられたことです。

先人が積み重ねた知見(巨人の肩)をもとに新しい事柄を発見・発明するという学術のスタンスをわかりやすく説明したものです。

 

最初に申し上げましたが、クリエーションとは創作創作とは今までにないものを作り上げることを指します。

クリエーションの定義を0→1の行為だと勘違いしている人は非常に多くいます。一方、クリエーションに関わる人によると、それらの人々は皆、クリエーションは10→11の行為であるといいます。

 

わかりやすい例を挙げてみましょう。

スマートフォン用のあるアプリを開発したとします。

当然ですがそのアプリを動かすためにプログラムが必要となります。

また、そのプログラムを組むプログラマーが必要となります。

そしてそのプログラマーはPythonといったプログラミング言語や、エクセルといった計算ソフトを使いこなすことが求められます。それらを組み合わせて既存にないアプリケーションを作って初めてクリエーションは成立します。

つまり、この場合、既存のソフトやプログラミング言語(巨人)を用いて新しいものを作り出しているわけです。0→1という発想をこれに適用すると、新しいアプリを作るのに、まずはエクセルを作らないと、Pythonも一から作らないと、ということになって無限に時間がかかってしまいます。

 

デザインにおいても同様です。

元からあるものに少しでも付け加えれば、もしくは再解釈すればそれは新しいものでであり、その行為はクリエーションなのです。10→11の行為が比較的明確でわかりやすいアプリの話の場合とは異なり、芸術やアパレルといったデザインの分野においてはこれが非常にわかりにくいのが問題なのです。

 

今回の場合、ファッションショーという単位でこれを見た場合、もしかしたら白人×ターバンという行為をクリエーションとして考えたのかもしれません。もしそれが正解であれば、クリエーションという観点からいうと、未知の領域に踏み出しているのでそれはれっきとしたクリエーションであると言えます。もちろんセンシティブな話題になるので細心の注意を払う必要がありますが。

 

今日国際社会はトレンドとして多様性、すなわちダイバーシティを認めるのが当然になりつつあります。それはなぜかと考えたことがありますでしょうか?それは人道的な観点からすべての人々に人権を認めなけれならないという、道徳によるものでしょうか?

今回この件について少し考えてみて気づいたのは、多様性を認めることで今までになかった(表面に出ていなかった、もしくは画一化していたことで失われていた)新たな価値観や新たなアイデアを顕在化させる、そしてそれらを組みあわせることによって飛躍的にクリエーションの質と量を増やすことができるという、実に理にかなった現実的な計算のもとでそのような世の中に移行しつつあるのではということです。

 

もしGUCCIがこのようなトレンドを完全に見透かして、その先駆けとして宗教や人種と、既存のものを今までにない組み合わせで、合体させることでどのようなことが起きるのかという反応を僕たち世界中の人間を使って試していたのなら、それはもう恐ろしいことだ、GUCCIには脱帽だと思った次第です。

 

とりあえず今回はここら辺で終わろうと思います。

3000文字ぐらいでサクッと書こうと思ったら書きたいことが次から次へと思い浮かんで8500文字ぐらいになり1日掛かりの作業になってしまいました…

 

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それでは今日はこの辺りで失礼いたします。それでは次回の記事でお会いしましょう。